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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて
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前回の「わかりやすい刺激を求めるシミュレーション」は、ノードの状態を調節することによって環境をより予測しやすいものに変えます。これは「環境の状態が脳の状態に従属する」ということであり、見方を変えると「自然を支配する」ということでもあります。そう、全宇宙の支配こそが我々の究極の目的なのです!
では全宇宙の支配が我々の目的であるという根拠を以下に述べます。笑ってはいけません。実のところ、我々は日常的にそうと知らずに全宇宙を支配しようとしているのです。
統計では相関関係と因果関係をきちんと区別しろと言われます。つまり、火事の現場に消防車はよく現れるので、相関関係があるわけですが、消防車が火事を引き起こしているわけではありません。全くの逆です。火事を減らそうと思って消防車を減らせば事態は悪化するでしょう。火事を増やさないためにも、相関関係と因果関係は区別しなければいけません。というわけで、科学者は「消防車をなくしたときも火事が起きるか?」という実験を行うわけです。
この話から学べる教訓の一つは、科学は観察だけでは駄目で、実験しなければいけないということです。言い換えると、科学は自然から学ぶだけでは駄目で、自然を支配しなければいけないということです。
考えてみて下さい。私達はなぜ消防車をなくしたときに火事が減らせるか知りたいのでしょうか?それは、私達が火事の発生頻度を支配したいからにほかなりません。それが命を救うことにつながるからです。実際には消防車をなくしても事態は悪化するだけですが、それなら別の方法を試すだけのことです。実験は、支配する方法を探るためにあるのです。因果関係をはっきりさせるのは、支配したいからにほかなりません。
これは前回のシミュレーションを言い換えたものに過ぎません。前回のシミュレーションは脳から体、体から環境へと情報が流れていきますが、それはつまり環境が脳に従属しているということなのです。次の図は前回のシミュレーションと実験で使われる用語との対応を示したものです。環境は従属変数、体は独立変数、脳は実験者に対応します。前回のシミュレーションは「実験する科学者+その知識を活用する人」のシミュレーションでもあるのです。
しばしば、人工知能の研究は環境から脳へ情報が流れるという点に注目していますが、おそらくこれは大きな間違いです。たしかにそういう面もありますが、それは真実の半分でしかありません。「世界を思い通りにする。」これが鍵です。というのも、知性はダーウィン的な進化の産物であり、「その形質は子孫の数を増やせるか?」という視点から語られなければいけないからです。世界を思い通りにできる形質は、それがいきすぎない限り繁殖に貢献するでしょう(*)。
(*)ボス猿は必ずしも子孫を増やせているわけではないという報告があります。場合によっては支配は繁殖より優先される可能性すらあります。