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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

タイムトラベルループのエントロピー

ここでは、未来から情報がタイムトラベルしてきて因果関係のループを形作った時、そのエントロピーがどのように変化するのかを考察します。物理学者は蒸気機関のピストンが一回回る間にどうエントロピーが変化するのかを調べました。なら、タイムトラベルのループが一回転する間にエントロピーがどう変化するのかを調べるのだって理にかなっています!


ループの種類

タイムトラベルには、次の2つのループが考えられます。タイムパラドックスが起きそうになったらそれに逆の変化を加えて修正するループと、通常の世界はそのまま放っといて未来からの情報が間違っていたことにするループです。どちらもタイムパラドックスは避けられますが、観客は異なった物語を目にすることになります。未来人が過去へ瞬間移動するタイプの物語は全て前者で、未来から過去へ時間が逆流するふしぎな空間を通ってタイムトラベルする場合は後者がありえます(前者もありえます)。

前者と後者でエントロピーの変化は違います。前者は一旦エントロピーが大きくなった後小さくなりますが(未来は既に決まっているので)、後者はエントロピーが大きくなりっぱなしです(未来からの情報が信用出来ないからです)。

逆向きの変化を加えて修正するループ

では、前者のループのエントロピー変化について考えましょう。自分のおじいさんに撃った銃弾や弓矢はなぜかそれ、核爆弾を使おうとしてもなぜか不発です。何をしてもゴールは決まっているので、エントロピーは大きくなった後再び小さくなります。

もうちょっとかんたんな例――タイムトラベルする数字――で考えると次の図のようになります。未来から数字が来た後、そこにどんな変化が加わるかわからないので、可能性は広がります。しかしその後、可能性は一つに戻るのです。

エントロピーの増加方向を矢印で表すとこうなります:

面白いことに、時間が過去から未来に流れているはずなのに、エントロピーは上がった後下がっているのです。

未来からの情報が書き換わるループ

前者のループは、「エントロピーが上がって下がる」でした。後者のループのエントロピーはどうでしょう?後者は、タイムパラドックスの修正が、変化をもとに戻すことによってではなく、未来からの情報も同じように変化させることによって行われます。次の図は、この手のループの可能性を図にしたものです。

可能性は広がる一方です。これは、未来から過去へ移動している情報が変えられるという形でタイムパラドックスが解消されるからです。未来がどうなるかわかりません。そういう意味では、タイムトラベルしてないときとおなじですね。

ループのエントロピーを図にするとこうなります:

エントロピーは上昇します。奇妙なことに、ループの時間が逆行している部分でも、エントロピーは上昇しています。これではタイムトラベルなど関係ない普通の現象と代わりありません。こんな状況を考えて意味があるのでしょうか…?

しかし、これは当然だといえます。ループとは元に戻るものであり、上がったエントロピーは下がる必要があります。今、ループの半分は時間を逆行しているので、エントロピーが下がる代わりに上がるわけです。インチキのようですが、つじつまはあっています。

まとめ

未来から情報がやってくると、次のうちのどちらかが起きます:

  1. エントロピーが上がって下がる。
  2. エントロピーは上がりっぱなし。

1と2のどちらかが起きるということは、平均して考えるとエントロピーは上がるわけです。タイムマシンがあろうとエントロピー増大の法則は避けられないということかもしれません。

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