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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて
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ここでは時間逆転熱伝導のしくみについて書きましたが、同じことはセル状の世界で考えるとより簡単に理解できます。
現実世界の熱伝導の時間逆転バージョン(冷たい方から熱い方へ熱が流れる)は、次のように説明できます:
通常なら熱い方から冷たい方へ熱が流れるのですが、それは熱い方に速い分子が多いため、衝突によって冷たい方の分子が加速(熱い方の分子は減速)されるからです。ところが時間逆転バージョンでは、衝突時に、熱い方に遅い分子が多いので、熱い方の分子がどんどん加速されていくのです。
これはどういうことでしょう?熱いとは分子が速いということではなかったのでしょうか?実は時間逆転熱伝導では、熱い領域にある数少ない遅い分子が、冷たい領域にある数少ない速い分子と衝突するので、熱いところはますます熱くなるのです。もちろん普通なら確率的にそんなことはありえないのですが、時間が逆転するとそんなありえないことも起きるのです。時間逆転世界では、ランダムに動いているはずなのに、少数派と少数派は引かれ合うことがありえます。
この説明でも十分に理解しやすいと思いますが、セル状の世界で考えるともうこれ以上ないほど自明となります。
ここでの解説は次のページの内容を元にしています。
セル状世界では、ランダムに選ばれた2つの隣り合ったセルが状態を交換します。
これは分子同士の衝突のようなものです。エネルギーを持ったセルが持たざるセルにエネルギーをあげるのです。
重要なのは、これが時間逆転しても同じ現象になるという点です。やはりエネルギーを持ったセルが相手にエネルギーをあげています。(上のグラフを矢印の上下逆さまにして考えてみて下さい。起きているのは、やはり□と■の交換に過ぎません。)。
では時間逆転によって魔法のようにエネルギーが一か所に集中するのは何故でしょう?それは、交換が起きる場所が偏っているからです。時間逆転すると、周囲から浮いている2つのセルのペアが選ばれやすいのです。
次の図では、白い領域にある赤と、赤い領域にある白が選ばれています。ここで状態を交換すると、赤い領域はより赤く、白い領域はより白くなるでしょう。
注意してほしいのは、このような場所が選ばれる確率は通常ならとても低いという点です。ここが選ばれやすいのは、時間逆転しているからです。普通なら、多数派の状態(■□)の方が選ばれやすいでしょう。数が多いわけですからね。しかし時間逆転は確率を歪めます。時間が逆転したら、本来ほとんど起きないはずの現象がよく起きるようになるのです。
では現実世界の時間逆転熱伝導との関係を見てみましょう。セルの交換は時間逆転してもセルの交換にすぎないというのは、現実世界の説明の1に相当します(個々の分子の衝突は時間が通常の方向に流れているときと変わらない)。そして、普通は選ばれないセル同士が選ばれて状態を交換するというのは、説明2に相当します(分子がものすごく都合の良い配置になっているためエネルギーが一か所に集中する)。普通は選ばれない分子の組み合わせで衝突すると、熱い方はもっと熱くなるわけです。