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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて
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エントロピーの値は観測者によって異なるため、ある観測者にとってエントロピーが上昇する現象でも、別の観測者にとってはエントロピーが減少しているように見えることがありえます。
今、こんなランダムウォークをしている粒子があったとします:
これは何の変哲もない普通のランダムウォークです。変な仕掛けはありません。これをもとに2人の観測者にとってのエントロピーを考えましょう。
一人目の観測者Aは、ランダムウォークがスタートした瞬間だけを見て、別の部屋に移動します。もうランダムウォークの状態はわからないので、Aにとってのランダムウォークのエントロピーは上昇していくでしょう。
これはAにとっての不確かさを描いた図です。Aにはランダムウォークの粒子が灰色の領域内にあることはわかりますが、その中のどこにあるかはわかりません(黒いランダムウォークの軌跡は、神の視点を持った私達にしかわからないのです)。
Aから見た粒子のエントロピーは上昇していきます。
では次に、タイムマシンで粒子がどこにたどり着くことになるのか教えてもらった観測者Bにとっての、粒子のエントロピーを考えましょう。Bは粒子がある部屋とは別の部屋にいて、今の粒子の状態を全く知りませんが、粒子の最終的な位置を未来の自分から教えてもらっています。
Bは最初の粒子の位置は全くわからないものの、時間が経つにつれ粒子の位置がハッキリわかってきます。タイムマシンで未来を既に知っているからです。
興味深いことに、Bからみると、ランダムウォーク粒子のエントロピーはどんどん減っていきます。あたかも時間が逆転しているかのようです。
ここで重要なのは、観測者Aと観測者Bでエントロピーの増減が逆だという点です。Aにとってランダムウォーク粒子のエントロピーは増えていきますが、Bにとっては減っていくのです。
同じものを見ていても、観測者によってそのエントロピーは違うので、エントロピーが増えているか減っているかについてさえ意見が一致する保証はないのです。