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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

積み木の安定した置き方

子供は積み木で遊びますが、おとなになってから積み木で遊ぶ人はあまりいません。おかしな話です。おとなの知識で積み木について考察すればそれなりに得るものがあるはずです。積み木で遊で身につけた物理的直感はその後の人生すべてに影響を及ぼす基本であるにも関わらず、それについて振り返ることは少ないのです。では振り返ってみましょう。


安定と不安定

三角形の積み木を地面においてみましょう。置き方によって安定したりすぐ倒れたりします。

  • 安定した置き方

  • すぐ倒れる置き方

なぜ下の置き方は不安定なのか

数式の上では、下のような置き方もありえます。完全な無風状態なら下の状態のような置き方もできるかもしれません。しかし現実にはちょっとした振動というのがありますから、下の置き方はすぐに倒れます。

下の置き方が倒れやすいのは、積み木を倒す力が傾くほど大きくなるからです。ほんのわずかでも傾けば、それが倒す力を生み、さらに傾き、倒す力がさらに大きくなり雪だるま式に膨らんでいくのです。このプロセスは積み木が地面につくまで止まりません。プロセスの取り返しのつかなさに注目するなら、自己複製する生物や核分裂に例えることもできます。自分自身を加速するプロセスは爆発します。

いっぽうで上の置き方はお行儀がいいです。多少指が当たったくらいでは問題なくもとの位置に戻ります。起き上がりこぼしと同じ原理です。

全体を見る

上と下の違いを言葉で説明するなら、「重心が足の間にあるか否か」です。上は重心が足の間にあるので安定しますが、下は足が1つしかないので間もクソもなくすぐに重心からずれてしまいます。重心がきちんと足の間にあれば、多少ぐらついても復元する力が働きますが、足の間から出てしまうと、わずかなグラつきも拡大されて、倒れてしまうのです。

(※「重心が足の間にある」と表現しましたが、これはやや不正確な表現です。重心は三角形の中心にあるのですから足の間にあるわけありません!正確に言うと、「重心から地面に垂直に引いた線と地面の交点が足の間にある」ですが、長くてなにがなんだかわからないので、以後も「重心が足の間にある」と表現することにします。)

ある意味で、積み木を構成している分子一つ一つの運命が、積み木全体の形に依存しているといえます。積み木の重心が足と足の間にあるのならその分子はほとんど動かないはずですが、そうでないならその分子はこれから大きく地面に向かって動くはずです。何やら全体論めいた話になってきました。

じっさい、途中まで見るといかにも倒れそうなのに、全体を見るとちゃんと安定するということはありえます。たとえばこんなレゴブロックがあったとします。

いっけんきわどそうですが、安定してたっています。しかしこれを2つに分割すると、倒れてしまいます。

どちらとも単独ではすぐに倒れてしまいます。重心が一番下のブロックの範囲外になるからです。

これは何を意味しているのでしょうか?安定するかどうかはブロック全体に依存するということです。一つ一つは不安定でも、集まると安定するということはありえます。3本の矢を連想しますね。

安定、現在、未来

安定とは、現在と未来が同じであることを意味します。一時的には状態は乱れるかもしれませんが、すぐにもとに戻ります。そして安定するかどうかは、全体に依存するのです。

重心が足の間にある場合は、未来を現在と同じにできるのですが、重心が足の範囲外にでてしまったら、未来を現在と同じにすることはできません。未来は現在とかけ離れたものになるのです。しかもその変化はどんどん大きくなります。

そういえばデイビッド・ドイッチュは持続可能な開発などクソ食らえだ(大意)というような事を言っていました。

たとえば、巨大な石像を新たにつくるだけの生活様式を営む人は、石像をつくったあとでもそれ以前と全く同じように暮らし続けることができる。この生活様式は「持続可能」だ。一方、もっと効率的な農業のやり方を発明したり、多数の子どもの死因となってきた病気を治療したりできる生活様式は「持続不可能」だ。以前なら死んでいたはずの子どもが生き延びられるようになるので、人口が増える。その一方で、畑で働かせる子どもは減る。したがって、以前と同じような生活様式を続けることはできなくなる。これまでの問題の解決策を実行し、それによって新たに生じる問題の解決に取り組まなくてはならない。亜熱帯のイースター島よりも遥かに気候の厳しいグレートブリテン島で、今やイースター島が最盛期にあったころの3倍以上の人口密度で人が暮らし、生活水準も著しく高くなっているのは、この持続不可能性のおかげだ。

じっさい、技術的特異点などというものが起きるとしたらそれは極めて不安定なものだといえるでしょう。

積み木の話に戻りましょう。両足が作り出す領域が大きければ大きいほど、未来を現在と同じにする力が強いと言えそうです。つまり両足の幅は歴史の修正力ジェネレーターなのです!!

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