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2次元のランダムウォークの確率

1次元のランダムウォーク粒子がある時間ある場所に存在する確率はパスカルの三角形で計算できます。では2次元のランダムウォークではどう計算すればよいのでしょう?


パスカルの三角形の復習

ランダムウォークをシミュレートした結果を予測したいとします。ランダムウォークは動く方向がランダムな粒子の動きなので、結果は確率でしか言うことができません。シミュレートしたばかりならスタート付近の場所を当てずっぽうで言えば当たるかもしれませんが、シミュレーションの時間が経てば経つほどどこにあるのか言い当てるのが難しくなります。そこで、具体的にどこに粒子が行くのか言い当てることはあきらめ、確率がわかればそれでよしとするのです。

1次元のランダムウォークの場合、パスカルの三角形から計算できます。

パスカルの三角形の縦方向を時間、横方向を空間とみなしましょう。ランダムウォーク粒子の存在する確率は、この数字に比例します。

ランダムウォークシミュレーションを開始した時は数字が1しかないので、確率1。次の瞬間(1, 1)になるので、確率1/2, 1/2。その次は(1, 2, 1)になるので確率1/4, 1/2, 1/4です。時間がどれだけたとうとも、中心付近がいちばん確率が高いようですね。

2次元ランダムウォークの確率

さて、1次元のランダムウォークの場合はパスカルの三角形から計算できることがわかりました。では2次元のランダムウォークの場合は?

計算してみた結果、次のようなピラミッド型の数字から計算できることがわかりました:

このひし形の数字の表は、ピラミッドの断面図です。さっきの例と同じように、各数字は確率に比例します。たとえば時刻0では数字が1だけなので、確率1です。時刻1では数字が1,1,1,1なので、確率は1/4, 1/4, 1/4, 1/4です。各断面はある時刻における確率の比を表すのです。

さてこの数字は一体どのような法則で並んでいるのでしょう?よく見ると、パスカルの三角形の数字っぽいものが並んでいます。一番下のひし形に注目して下さい。1, 4, 6, 4, 1という数列がありますが、これはパスカルの三角形の5段目なのです。

更によく見てみると、一番下のひし形だけでなくすべてのひし形で、パスカルの三角形の一部が見つかります。じつは、このピラミッドは表面をパスカルの三角形で覆われているのです。

そして驚くべきことに、表面内部は、パスカルの三角形の数字をかけた数字になっています。たとえば、一番下のひし形だと、中心の36は6×6です。内部はなぜか、2つのパスカルの三角形をかけ合わせたものなのです!

経路の数

どうしてこうなっているのでしょう?それは、この数字がランダムウォークの経路の数を表していて、2次元ランダムウォークだと2つの経路の数をかけ合わせただけの経路の数ができるからです。

パスカルの三角形の数字の2は、スタートからその地点まで行くのに経路は2つあるということを表しています(さいしょの1から3段目の2に行くには、最初の分岐で2通りの経路に別れなければいけないのです)。スタートからその場所へ行く経路が多ければ多いほど、そこの数字は大きくなり、ランダムウォーク粒子の存在確率も大きくなるわけです。

これは2次元ランダムウォークの場合も変わりません。そこへ行く経路の数が多ければ多いほど、その場所の粒子の存在確率も多くなるのです。

ポイントは、2次元ランダムウォークの経路の数は、1次元ランダムウォークの経路2つをかけたものと同じという点です。2つのサイコロ両方が1の目を出す確率は1/36になるのとおなじ理屈です。だから、ピラミド内部の数字は、2つのパスカルの三角形の数字をかけたものになっていたわけです。

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