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Memeplexes

プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

タイムトラベルで確率が歪んだ拡散(1次元バージョン)

水に絵の具を垂らすと絵の具は拡散していきます。普通ならそのまま薄まるだけですが、もしきちんと薄まらなかった未来からタイムマシンでメッセージがやってきたとしたら、拡散する様子に歪みが生じ、SF映画『メッセージ』のエイリアンのイカすみのように集まるはずです(もちろん、きちんと薄まらない確率はとても小さいので、通常はそんなメッセージがやってくる可能性は無視していいのですが)。このページで紹介するのはその確率の歪みを計算するプログラムです。


タイムトラベル・イカすみ拡散

操作方法

一番上の5つのセルのいずれかをクリック:未来にそのセルにイカスミが集まるよう設定します。もう一度押すと設定が解除されます。

解説

これは水中でイカ墨が拡散する様子をシミュレートしたものです。通常の拡散のシミュレーションと違うのは、その拡散の結果をコントロールすることが出来る点です。

拡散というのはランダムな現象です。分子レベルでイカ墨や水分子がぶつかり合い、あっちに行ったりこっちに行ったりするのを、私達が見るとぼんやり薄まっていくように見えるわけです。これが意味するのは、イカ墨が拡散したあと、魔法のようにまた集まる確率は0ではないということです。このシミュレーションはその0ではないごく僅かな確率を無理やり1に拡大して現実にします。

マウスで次のようにクリックすると、イカ墨が広がりまた集まる様子が表示されます:

この図は下が過去で上が未来です。いくつかある四角いセルは時空の状態で、黒はイカスミが集中した状態で、白はイカ墨がない状態です。矢印はイカスミ分子の流れを表し、そこに描かれた数字はイカスミ分子が移動する確率です。

はじめイカ墨は一点に集まっています。それが次の瞬間2つのセルに拡散し、またその次には一点に集まります。このようなことは通常有りえないということに注意してください。コインを10回投げてすべて表立ったということがありえないように、また集まる確率もほとんど0なのです。しかし、0そのものではありません。つまり偶然このようになってしまうこともあるということで、このプログラムはその特殊なケースをシミュレートしているのです。

時間逆転ランダムウォークとの関係

これは時間の逆転したランダムウォークと似ていると思った方もいるかも知れません。時間逆転ランダムウォークもやはり、広がって集まるからです。たしかにほぼ同じなのです。違うのは、次のような些細なことのみです。

ランダムウォークは2分岐で、今回の拡散シミュレーションは三つ又です。これが何を意味するかというと、今回のやり方は拡散スピードを細かく調節できるという点です。今回は[0.1, 0.8, 0.1]という確率ですが、やろうと思えば[0.2, 0.6, 0.2]という確率にも出来ます(前者より後者のほうが速くイカ墨が散らばります)。ランダムウォークでは拡散スピードは固定ですが、今回の拡散のシミュレーションでは、自由自在に拡散スピードを操れるのです。

これは生命のシミュレーションをする上でとても都合が良いため、シマウマのような縞模様の数学的モデルである「チューリング・パターン」のシミュレーションで使われています。つまり?生命とタイムトラベルを組み合わせようと思ったら、今回のシミュレーションは避けて通れないということです!なにしろ、物理学者たちがやるように意思のないビリヤードボールとか爆弾がタイムトラベルする思考実験しても、一般の人達が面白いと思えるような結果はなかなか出てこないでしょう。現在公開されているタイムトラベルもののSF映画はすべて生物が登場するはずです!今回のこのシミュレーションは、一般受けする結果を計算する布石なのです!

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