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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

速度、摩擦、エネルギー、予測

物理の基本の復習です。速度と摩擦とエネルギーと予測についてです。


止まっている人と動いている人

私達が「止まっている」という言葉を使う時、その言葉は動いていないことを意味するのではなく、周りの物体と同じ速度で動いていることを意味します。部屋の隅っこでじっとうずくまっているように見える人も、実際は地球と一緒に太陽の周りを猛スピードで動いていますし、太陽だって銀河系を回っています。もちろん銀河も動いています。

にも関わらず私達が「止まっている」という言葉を使うのは、周りと同じ速度で動いていたとしたら、取り立ててその物体を「動いている」と表現する必要はないからです。すべての人が交通法規を破っているのなら、ある人を指差して「こいつは犯罪者だ!」と糾弾する必要はありません。全員が犯罪者だからで、そうなれば全員をしょっぴくだけです。私達が物体を形容する時、その物体の特徴――周りと違う所――を表現します。周りと同じ要素を言葉にする必要はあまりありません。周りと同じなら情報量は低いからです。周りと同じ速度で動いているのなら、その物体の速度について何か言う必要はなく、かわりに「止まっている」という言葉を使うわけです。

速度と予測

動いているものは予測しにいと言っていいでしょう。一度目を離したら、現在地を言い当てるためには、1.最初の位置と、2.速度が必要だからです。停止した物体なら予測するために必要な情報は1だけでよかったのに、今や2つの情報を覚えなければいけません。つまり予測しにくいのです。

ただし、バスとその乗客のように、塊として同じ速度で動いていたら話は別です。速度をひとつだけを覚えていれば、それを使いまわしてたくさんの人の位置を予測できるようになります。周りと同じ速度で動く物体は、その位置を予測しやすいのです。

摩擦と予測

摩擦や空気抵抗には、物体の位置を予測しやすくする効果があります。猛スピードで動く物体には周りの物体が衝突し、減速させてしまうのです。最終的には周りと同じ速度になってしまうでしょう。いわば、周りと違うやつがいたら寄ってたかって足を引っ張る嫌な連中です。そして、周りと同じものは、人であろうと無生物であろうと、非常に予測しやすいものです。

※この話には続きがあって、このとき、空気分子の方は予測しにくくなります。猛スピードで動く物体を空気抵抗で減速させると、空気は少し暖かくなり、その分分子の速度が多様化してしまうのです。ですから、猛スピードでうごいていた物質+周りの空気分子という塊で考えると、逆に予測は難しくなっています。

運動エネルギー

運動エネルギーも速度と同じように、周りの状況に依存します。運動エネルギーは速度があればあるほど大きいのですが、そもそも速度というのは誰が見るかによって変わります。火星の人から見れば、あなたは猛スピードで地球と一緒に動いており、大きな運動エネルギーを持っているといえます。しかし地球ではあなたが大きな運動エネルギーを持っていると言ってくれる人は、あなたが高いビルから落下している最中でない限り、いないのです。

あなたはそこら辺においてある静止した石の運動エネルギー使って発電することはできません。止まったものの運動エネルギーは0だからです。しかしその石が速度を保ったまま火星に衝突するとなれば、火星人はその石の前に発電用のピストンを置いて、うまく発電することが出来るでしょう。つまり火星人にとってはエネルギーがたっぷりあるのです。

これは面白い話です。発電するには、周りと違った動きをする、予測しにくいものがなければいけません。一方で、動きをうまく電力に変えるには、その動きを予測することも必要です(第二種永久機関がそれをあからさまにやっていますが、普通の発電でも同じことです。ものを燃やせば、ガスの圧力により予測可能なピストンの動きが生まれます)。つまり、予測しにくいものを予測してしまえたら、発電ができるわけです。

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