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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

より正確な制御のためのランダムさ

ふつう、機械を正確に制御したいときには、ランダムさは排除したくなります。50%の確率でしか効かないブレーキなど誰が使いたがるでしょう?しかし場合によっては予想外の動きをするものがあったほうがその機械を信頼できることがあります。それは機械を動作させるタイミングです。「この機械は太陽を消せます。ただしそれは日食のときに限ります」などと言われたらふざけるなと言いたくなるでしょう。


哲学的太陽支配

あなたが大富豪で、自称発明家から「太陽を制御できる機械」を売り込まれたとしましょう。あなたは好奇心から「では太陽を消してみよ」と命じるのですが、「残念ですが、タイミングというものがあるのです。この機械が次に太陽を消せるのは◯◯年◯◯月〇〇日です。車が急に止まれないのと同様、この機械もすぐに効力を発揮するわけではありません」と発明家は言います。

もちろんこの日付は次の日食です。この話の教訓は、すでに決まった未来を実現させる装置は、本当に動作しているのかどうかわからないという点です。ランダムに指定された日付に動作してもらわないと、信用できません。

私達が何かを支配していると実感するときとは、自分がランダムに決めたなにかに従って周りが動いているときなのです。

気まぐれによる命令

実際、私達はこのやり方をよく知っています。他人に命令できる立場になったら、気まぐれから命令したくなるでしょう。12月にクリスマスパーティーをする慣習が出来ている集団がいたら、リーダーが12月に「よしクリスマスパーティーをしよう」と言ったとしても支配の証明にはなりません。6月にクリスマスパーティーをしてこそ真の支配者なのです。

これは命令される方からすると迷惑千万なのですが、命令する側からすると支配システムがきちんと動作しているこれ以上ない確認と言えます。迷惑千万なのですが。

合理的占い

あなたが古代の村のリーダーで、村民が一致団結して命令に従ってほしいと思っているとします。こういう時、コイン投げで政策を決めるのが一つの方法です。というのもその内容はランダムだからであり、自分自身すらも予測できないものだからです。

もしあなたが考えて政策を決めるのだとしたら、敵対的な副リーダーがあなたに圧力をかけて政策を変えさせようとするかもしれません。そうなると、どっちが本当のリーダーなのかわからなくなってしまいます。しかし衆人環視の中で行われるランダムなコイン投げなら、誰も政策決定に口をはさみ用がありません。あなたは政策の決定権を手放すことにより、たしかな権威を手にするのです。

もちろんこれは「より確かな権威を手にするにはどうすればよいか」という観点から見た合理性であり、実際は地道に情報収集をして考えた結果で制作決定したほうが良い結果をもたらすことが多いのではないかと思います。だからこそ占いによる政策決定は廃れたのでしょう。

タイムトラベル

この「ランダムななにかから未来を決める」というのはタイムトラベルと数学的に似ています。未来から0か1を受信する機械があったとすると、それは予測しようのないランダムな情報です。同時に、それは未来を確実に決めます。未来から1が送られてきたのなら、我々は必ず1をそのタイムマシンにセットすることになるのです。0をセットしようとしても、なんだか不思議な力が働いて結局1をセットすることになるのです。

我々がタイムトラベルがテーマのフィクションを好むのは、これが原因だと思われます。我々の脳には支配を好む回路があり、タイムトラベルを見るとその回路が共鳴するのでしょう。

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