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先入観をなくすとはどういうことか

先入観をなくすとはどういうことなのか考えてみましょう!


りんごは落ちるか?

あなたはいまりんごを手に持っています。手から離すとりんごはどうなるでしょうか?

もし地面に落ちると答えたのなら、あなたは先入観に支配されています!私はどこで手を離したかについては何もいいませんでした。つまり、宇宙で最も大きな体積を締めている、無重力状態で考えるのが最も中立的な視点と言えます。宇宙は広いですが、りんごの落下が目で見てわかるほど強い重力の場所などほとんどありません(そう、厳密に言うと重力は無限に届くためどこかにほんのわずかに引っ張られはしますが、何億年かかけて地面に落ちる前に別の場所からやってきた天体に別に方向に引っ張られるようになるでしょう。いずれにせよ「地面に落ちる」が適切とは言えません)。わたしたちは無意識のうちに自分のいる場所がスタンダードだと思いこんでいるのです。

「人類はずっと重力のある場所で生きてきたのだから、重力が存在する前提で答えるのが正しい」などというのは何の言い訳にもなっていません。それでは、ありとあらゆる先入観が正当化されてしまいます。実のところ先入観というのは偏った場所で偏った経験をすることによって生まれるのです。もし人類がずっと重力のある場所で生きてきたというのなら、重力から自由になりより広い視野を持つことを望むべきなのであって、決してそれを偏見を抱いた言い訳にしてはいけないのです。

先入観:前提の補完

では先入観とはどういうことなのかもう少しくわしく考えてみましょう。たぶん、先入観とは判断の前提を勝手に作り出すことです。私達がさっきのクイズを地球上での話だと思い込んだように、「これまでの人生で多く経験した状態」を前提だと思いこむのです。

実のところ、それ自体はそれほど不合理ではありません。私達は、自分のいる場所で判断するわけですから(「自分のいない場所で判断する」ことなど誰にも出来ません)、自分のいる場所を基準に判断するのが自然と言えます。つまり、先入観は役に立つのです。

そしてそれこそが、先入観が危険な理由なのです。宇宙は広く、変化し続けているため、その先入観が役に立たなくなる状況はいずれ訪れます。そのとき先入観を固持すれば、新しい世界に適応できなくなるでしょう。もし「先入観は役に立つ」という経験を積み重ねていけば、それだけ後で状況が変わったときのショックが大きくなります。局所最適解にはまってしまうのです。

先入観を実質的になくす

数学的にはたぶん、先入観というのは条件付き確率の条件をかってに作り出すことです。残念なことに、そのような確率は個体が環境を観察した結果脳にコードされるはずなので、結局「自分が経験した状況」を基準にするのは原理的には避けられないということになりそうです。先入観から完全に自由になることなど誰にも出来ません。

ただし一つ明白な対策法があって、それは様々な状況を思い浮かべることです。一日中ぼーっとして宇宙について考えている人がいたら、その人の経験しているのは無重力状態です……まあ体がふわふわ浮いているわけではありませんが、その人の脳が無重力状態と数学的に等価なパターンを経験しているのは確実です。そのような人にとっては、無重力が普通の状態となり、りんごクイズに正しく答えることができるでしょう。

偉大な人物はしばしばぼーっとしていると言わることがありますが、もしかすると彼ら(彼女ら)はぼーっとすることによって様々な(仮想の)経験をし、実質的に先入観をなくす(局所最適解から逃れる)ことによってイノベーションを引き起こすのかもしれません。

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