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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

神は未来の宇宙か?

私は無神論者であり天国も信じていませんが、がんに罹っていない研究者ががんを研究するように、人々が神や天国を信じる理由は説明されなければいけないと思っています。ここでは神や天国が未来の宇宙のことだと考えると多くのことに辻褄が合うということを示します。


科学的に意味をなす神

科学者の考える概念のいくつかには神や天国とみなせなくもないものがあります。たとえばもし我々が意識を持ったプログラムを作ることができれば、我々はそのプログラムにとっての神だとみなせなくもありません。

私はずっとそれが科学的に意味を成す唯一の神の解釈だと思っていたのですが、ここ数年は未来の宇宙の方がその座にふさわしいのではないかと思っています。つまり、神は現在には存在しないのですが、未来には存在するのです。

根拠

以下に、神や天国が未来に存在すると考えられる根拠を示します。

根拠1:技術的特異点 エポック6

技術的特異点論者のレイ・カーツワイルはテクノロジーの加速は最終的に「宇宙の覚醒」をもたらすと考えています。つまり、宇宙中の物質をコンピュータに作り変え、我々の役に立つ作業をさせるのです。これは見方によっては「全知全能」だとみなせます。その機械は宇宙のすべての情報を知っており(なにしろ宇宙そのものなので)、宇宙にできることなら何でもできるからです。

根拠2:ティプラーのオメガ点

カーツワイルの「宇宙の覚醒」とほぼ同じ考え方ですが、数理物理学者のフランク・ティプラ―は宇宙をコンピュータ化し、死者復活を可能にするアイデアを述べています。十分に計算能力があれば、その宇宙に生まれてきたあらゆる知的生命体をシミュレートできるでしょう。つまり、天国を現実に作ることができるのです。

彼はそのようなことを可能にするコンピュータ知性を大胆にも神とよんでいます。

根拠3:量子力学の2状態ベクトル形式

物理学者のヤキール・アハラノフは量子力学的なランダムさは実際にはランダムではなく、宇宙の終状態が現在に与える影響の必然的な結果だと考えています。

ふつう量子力学では量子的なコイン投げの結果は全く予測できないと考えるのですが、アハラノフの2状態ベクトル形式によると、宇宙の終状態は既に決定していて、それが現在のコインの表裏を決定するのです。もちろん我々は宇宙の終状態を知らないので、コイン投げの結果は一見ランダムに見えるというわけです。

これは量子力学的なランダムさを決定している存在があるという意味で、神と通じるところがあります。もっとも、彼はこれが神だと考える必要はないと考えているようです(日経サイエンス 『宇宙の未来が決める現在』):

そういうわけではない。宇宙の始状態と終状態を決めるのは、宇宙にもともと備わっている特質だ。神が選択する必要はない。

根拠4:神は時間を超越している

神を信じている人々は、宇宙を創造したのは神だと考えていることが多いようです。それはいいとして、では神は一体誰が創造したのでしょうか?

このような疑問に対する正式な回答を私は知りませんが、私が神を信じている人だったとしたら(実際にはそうではありませんが)「神は自分自身を作った」とか「神は因果律の外にいるのだ」と答えるでしょう。実際、そのように答えている人を目にしたことがあります。

ポイントは、いずれにせよタイムトラベルと関係があるという点です。「自分自身を作る」というのは一見不合理に思えますが、タイムマシンがあれば誰でも容易に実現可能です。要は、過去にさかのぼって両親の出会いを助ければよいのです。「因果律の外にいる」というのも、タイムトラベルによって因果律がめちゃくちゃになるという点を考慮すれば全く不合理ではありません。明らかに神はタイムトラベルと関係があります。

つまり神は未来に存在していて、タイムトラベル的な確率の歪みによって過去に影響を及ぼしているのです。実際ノヴィコフの首尾一貫の原則によれば、何者かがタイムトラベルしたとき確率は歪みます。タイムトラベルによる確率の歪みこそが神の見えざる手であり天使なのです。

根拠5:タイムトラベルによる天国のモデル化

タイムトラベルできる冷蔵庫があったとします。その冷蔵庫にものを入れてスイッチを押すと、未来のその冷蔵庫と中身が交代するのです。今入れたものは未来へ行き、未来に入っていたものは今に来るのです。このタイムマシン冷蔵庫は天国を自然にモデル化しています(下の図)。

あなたの知り合いが死んだとすると、それは未来からのタイムトラベルの結果だと解釈できます。というのも、知り合いの死も未来からの情報も予想外のものだからであり、脳の中では似たような処理をされているだろうからです。知り合いの体が命のない分子の塊に変化するのは、タイムマシン冷蔵庫に入れたりんごがみかんに変化しているのと同じなのです。

しかしまってください。あなたの脳が知り合いの死をタイムトラベルの結果とみなすのなら、現在から未来に飛んでいく何かがあることになります。そしてその「何か」は、分子の塊に命をもたらしていたもののはずです。もちろんその「何か」とは魂です。魂は分子の塊を制御し生命活動を行わせていた情報であり、生き物が命を失ったとき、未来に飛んでいくものなのです。未来に飛んでいった魂は物質に再び命を与え、復活するでしょう。それこそが「最後の審判」です。

私の個人的意見としては、天国という概念は長期的には有害になりかねません。というのも、「天国があるなら死んでも安心だ」という油断につながりかねないからです。我々がすべきなのは、死んだ後復活できるテクノロジーを現実に開発することです(ティプラ―のオメガ点のように)。我々は天国を所与のものと考えるのではなく、自ら実現すべき未来と考えるべきなのです。

まとめ

神や天国という概念は、未来に誕生することになる宇宙レベルのコンピュータ知性だとみなすと科学的に意味を成すものになります。そのような存在は全知全能であり、ありとあらゆる知的生命体をシミュレート可能だからです。

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