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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

願望成就機械

※もちろんジョークですよ!!!!!!

この記事は以前の記事の内容をベースにして考えます。
未読の方は以下のふたつを読んで下さい。

論理の力だけで自分を実行しているハードウェアを破壊するプログラム
自分を死から守るお守り


避けたい現象をタイムパラドックスにつなげるシステム

自分を死から守るお守り」でややあからさまにほのめかした通り、時間的閉曲線を利用すると、プログラムで定義できるのなら、嫌なことをほとんどなんでも避けられます。
もう一度このロジックを振り返ってみましょう。

論理の力だけで自分を実行しているハードウェアを破壊するプログラム」で紹介したプログラムは、何があろうと決して完全に実行されることはありません。
これが完全に実行されることはタイムパラドックスが起きることを意味します。
ですから、このプログラムはどのような状況であろうと最後まで正確に実行されることは決してありません。

このプログラムを誰かがエンターキーを押して実行したらどうなるでしょう?
ハードウェアが壊れて、実行できません。
あるいは、プログラムを実行する前からハードウェアは壊れていたのかもしれません。

では、ハードウェアが壊れないように、ものすごく冗長性を持たせて設計すればどうでしょう?
どこか部品が壊れても、別の部品がかわりをやってくれる設計です。
偶然すべての部品が壊れるのは、宇宙の寿命が尽きるまで程度の時間では、ほとんどありえないほど念に念を入れて金をかけてコンピュータを作った場合は?
その場合は、もっとありえる現象が起きるでしょう。
実行しようと決心した人は、不慮の事故で死にます。

死ぬ、というのはややセンセーショナルな表現だったかもしれません。
もちろん、他の可能性もあります。
その人が実行する前に突然、心を入れ替えて実行しないことにするのかもしれません。
(その理由はもしかしたら、実行すると直前に死ぬかもしれないという知識を誰かに知らされた、というものかもしれません。)
あるいは研究所をクビになり、そのスーパーコンピュータがある部屋から追い出されたのかもしれません。

いずれにせよ、そのプログラムを実行しようとするあらゆる試みは、失敗するでしょう。
失敗する、というのはネガティブなイメージがあるかもしれませんが、これは逆手に取ってやることが可能です。
自分の嫌なことが起きると、そのプログラムが実行されるようなシステムを作った場合どうなるでしょう?
もちろんそのシステムが極めて壊れにくくなるよう、金をかけて頑丈に作られていた場合です。
その場合は、自分の嫌なことが起きなくなるでしょう。
嫌なことが起きればそのプログラムが実行されるのに、そのプログラムは決して実行されないのなら、そもそも嫌なことが起きないに違いありません。
自分の嫌なことにそのプログラムを実行させるシステムなのです。
自分の嫌なことが起きるということは、タイムパラドックスが起きることを意味します。

どのようにそのシステムを運用するか

そのシステムはあなたの願うことを、2を奇数にせよなどという無茶な願いでない限り、だいたい叶えてくれるでしょう。
あなたの願いがかなわなかった時、例のプログラムを実行するシステムにすれば良いのです。

(ちなみに、2を奇数にせよという願いの場合、確実にシステムが破壊されます。
数学に勝利をおさめることはできません。
いくらそのシステムが壊れにくかろうと、数学が書き換えられること以上にありえないことはありません。
また、同様のシステムを持った他人があなたの願いと相容れない願いをしたとき、片方が(おそらくより壊れやすいシステムのほうが)確実に壊れるでしょう。)

たとえば、自分と敵対する組織を潰したいと思ったとしましょう。
あなたはきっとシステムにこんなプログラムをセットすることになるでしょう。
「明日の朝、ネットでニュースをかき集めよ。もし敵組織壊滅のニュースがなかったら、例のプログラムを実行せよ」
もちろん、ハッカーによる情報サイト書き換えや誤報の可能性を潰すため、複数の情報源から記事をダウンロードし、内容を検証するプログラムを書かねばなりませんが、それくらいどうってことありませんよね。
あなたは次の朝、敵組織壊滅のニュースを見て満足することでしょう。
これは当然のことです。
なにしろ、敵組織が壊滅しなかったら、タイムパラドックスが引き起こされてしまうのですから。
敵組織は翌朝生きていることによって、「決して実行されないプログラム」の実行ボタンを押してしまうのです。

必要なタイムトラベルの規模

このシステムの良い所は、必要とするタイムトラベルの規模が小さくて良いというところにもあります。
ごく僅かな矛盾を作り出せる可能性があるだけでいのです。
どんな小さな矛盾でも、それを人間社会に大きな影響を与えることが出来るほどの規模に、拡大できます。

1ミリ秒未来から、1ビットの情報を持ってくるだけでいいのです。
別に人間が通れるほど大きなワームホールなんていりません。
10年先の情報がほしい訳でもありません。
ほんの僅かな時間でいいから、ただ未来でさえあればいいのです。
むしろ情報を受け取ってからふたたびそれを過去へ送るまでの時間は短いほうが良いでしょう
そのほうがシステムが壊れる要因が介入しにくくなりますからね。

「ありえそうなこと」

ここまで、「よりありえそうなこと」が宇宙の矛盾を解消するために起きるのだ(少なくともより起きそうなのだ)、とう仮定をおいてきました。
システムが頑強なら、例のプログラムを実行させようとする条件そのものが起きないのだと。
しかしそうすると…次のように考えることも出来るでしょう。
「システムにより様々な奇跡が起こされることより、システムを作ろうという試みが失敗するほうが、よりありえる」

この問題に対処するために、システムはある程度願いを叶えたら、まだ壊れていなくても作りなおすべきかもしれません。
そうすれば、「システムを作ろうという試みが失敗する可能性 < システムが様々な奇跡を起こす可能性」となるでしょう。

これはある恐ろしい可能性を示唆しています。
実在する個々のシステム自体は、どうでもよいのです。
どうせいくらでも作られるのですから。
奇跡により一つのシステム開発計画が頓挫したところで、また別の組織がそのシステムを作ろうとするでしょう。
宇宙の無矛盾性は、その都度奇跡を使って、それらの計画全てを破滅させるのでしょうか?
しかし私はそれよりもっと「ありえそう」な事を知っています。
宇宙がその整合性をまもるために、もっとお手軽に実現できそうな奇跡です。
それは、このアイデアを考えだした人間の死です。

アイデアは複製されます。
なら、アイデアが複製されてから、たくさんの奇跡を使って各ケースに対処するより、最初の一つをひとつの奇跡で潰したほうが効率的ではないでしょうか?
たくさんの人にアイデアが共有され、このシステムを作ろうとする複数のプロジェクトが全て頓挫する奇跡より、最初の人間が心臓発作か何かで死ぬ奇跡のほうがより「ありえそう」ではないでしょうか。

もちろん、アイデアは収斂を起こすので複数の人間が別々にある一つのアイデアを「発見」することはあるでしょう。
なので、それらの人達を個別に殺す奇跡を起こすよりも、そもそも地球に生命を生み出さない奇跡を起こすほうが簡単かもしれません。
あるいは…両親は同じでも、たくさんある精子と卵子の遺伝子の組み合わせを少し変えるだけで、ある人間を簡単に消せるでしょう。
自分をそこそこ健康だと思っている人間を殺すよりは、そちらのほうが、たぶん、簡単な奇跡でしょう。
それが起こらなかったということは、もしかすると「ありえそうなこと」とは何かということの基準にはなにかもっと別の要素が関係しているのかもしれません。

とはいえ、私はありえそうな犠牲になることを少しばかり覚悟していました。
しかしあなたがこの文章を読み、理解することによって、その危険性は下がるでしょう。
一度このアイデアが複数の人間に理解されたら、もはや最初の人間を殺しても意味はありません。
あなたが理解することによって、私は救われるのです。

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