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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

ランダムウォークのエントロピー

これまでランダムウォークのエントロピーが大きくなるとか小さくなるとかいう話をしてきましたが、具体的なエントロピーがどのくらいの数字なのかには触れてきませんでした。そこでランダムウォークのエントロピーを表示するプログラムを書きました。


デモプログラム

表示
操作 粒子の数:

解説

このプログラムはランダムウォークとそのエントロピーの量を表示します。時間によってエントロピーが増加する傾向にあることが分かるでしょう。ただし、このシミュレーションでは必ず増加するとは限りません。ランダムな要素があるので、エントロピーが偶然により少なくなることはあります。しかし現実の世界では原子が無数にあるので、偶然で宇宙全体のエントロピーが小さくなる確率はとても小さいのです。

プログラムを詳しく説明しましょう。左がランダムウォークを表示するキャンバスで、右がエントロピーのグラフです。エントロピーのグラフには目盛りが書いてあり、単位はビットです。たとえば、もし赤い領域が10の目盛りに来ていたら、エントロピーが10ビットであることを意味します。

表示のチェックを入れると、ランダムウォークの表示のしかたが変わります。[各粒子を表示]と[ガスの輪郭を表示]はそれぞれ現実の宇宙の状態と、観察者が見た宇宙の状態を表示します。何故こんなチェックボックスが必要なのかというと、それはエントロピーの計算方法と関係があります。

エントロピーを計算するには、観察者の見た世界と実際の世界2つが必要です。観察者の見た世界と実際の世界がかけ離れていればいるほどエントロピーは大きくなります。観察者は目が悪いので、一つ一つの粒子は見えません。粒子が集まったモヤの輪郭しか見えないのです。観察者の見た世界と実際の世界は違うわけです。

ランダムウォークが進みモヤの輪郭が大きくなったら、それぞれの粒子がどこにあるのかますますわからなくなります。輪郭の内部にあることはわかりますが、具体的にどの位置にあるのかは目が悪いのでわからないのです。つまり、体積が大きくなると、観察者の見た世界からは実際の世界を言い当てることは難しくなります。これがエントロピーが高い状態です。一方、ランダムウォークの粒子が一点に集まっている状態は、観察者の見た世界と実際の世界の差はゼロなので、エントロピーもゼロです。

物体の持つエントロピーは観察者の無理解の程を表しているともいえます。中身の分からない宝箱のエントロピーは高いですが、見てしまえば低くなるわけです。昨日あった人の今日の状態は予測しやすいのでエントロピーは低いですが、10年ぶりに合う友達の状態は予測しにくいのでエントロピーは高いのです。(しかし会って現在の状態を知ればエントロピーは低くなるでしょう)

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