忍者ブログ

Memeplexes

プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

情報の意味

情報には様々な表し方があり、それが何を意味するのかはそれがどう解釈されるかによる、というよくある話を再確認します。


ウソしか言わない人

100%ウソしか言わない人は、ある意味とても正直者だといえます。その人はAかBかの二択の質問をすると、Aが答えである時必ずBと答え、Bの時はAと答えます。この人はある観点から考えると嘘つきですが、別の観点から考えると、とても正直者です。逆を考えればいいわけですから。じっさい、「彼(または彼女)が使っている言語は、わたしたちのもの似ているが実は違う言語なのだ」と考えると、全ての辻褄が合います。その人が言っているBという言葉は、実は私達にとってのAであり、その人にとってのBは私達のAなのです。その人は最初から真実しか口にしていなかったのです。

この話は、情報とはそれを受け取る側によって意味が変わるということを如実に反映しています。私達がこの正直な大嘘つきの言葉をどのように解釈するかによって、その情報の意味――ウソであるか真実であるか――は決まるのです。

<シラードのエンジン>の例

ではもう少し物理的なモデルで考えましょう。<シラードのエンジン>は、分子が2つの部屋どちらにあるかという位置情報をメモリに蓄えます。この時、位置を記録する方法は、無数に存在します。一番かんたんなのは、ミニチュア版の部屋を用意してそれをメモリとして使うというものです:

しかし明らかに他にも方法はあります。次の例では、メモリが左右反転しています。

これは、前述の正直な大嘘つきと同じです。一見メモリはウソをついているように見えますが、このメモリを解釈する方法(おもりをピストンにつなぐ方向)も逆転すれば、<シラードのエンジン>としてきちんと動作します(分子のエネルギーを電力に変えます!)。

ものすごく天邪鬼に思えるかもしれませんが、私達もこの方法を取っています。私達の左半身の情報は、右脳に流れ込み、右脳から左半身を動かします。私たちが左手を動かそうとした時、右手が動くなどということはありません。入力も出力も逆転してしまえば、結局元と同じになるのです。

ここで注目したいのは、<シラードのエンジン>の場合、解釈とは未来の行動(おもりをピストンの左右のどちら側につけるか?)だという点です。シラードのエンジンの配線が正しければエネルギーはどんどんたまっていきますが、間違っていれば、エネルギーはどんどん逃げていきます。<シラードのエンジン>が発電できなければ逆転していないメモリでも間違っていますし、<シラードのエンジン>が発電できれば、逆転したメモリでも正しいのです。

私たちは、メモリの状態だけを見てそれが正しいか間違っているか判断することはできません。そのメモリが未来にどのように処理されるかも考えなければいけないのです。

拍手[0回]

PR