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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

光より速い光パルス

波が合わさったときに現れるパルスは、個々の波より速く進むことがあり、これを利用すると光速を超える光パルスを作ることができます。もっとも、残念ながら光速を超えて情報を伝えることはできませんが…。ここではそのシミュレーションを行います。


光より速く!

群速度: (= 1 / )

操作方法

群速度:重ね合わせて作った波の群速度を設定します。

解説

単純な波でも重ね合わせると複雑な波を作ることができます。そうしてできた複雑な波は、個々の波とは性質が異なっていることがあり、このシミュレーションのテーマである群速度もその一つです。なんと、遅い波を足しただけなのに、そのどれよりも速い波が出来上がるのです。まさに三本の矢です。

これが何を意味するのかと言うと、光速を超えて移動する波を作ることが出来るということです。このシミュレーションのように、短い波長の波ほど速く進む素材(たとえばセシウムガス。波長が短い青い光は速く、波長の長い赤い光は遅く進みます)の中を光が通れば、現実に光パルスは光速を超えるのです!

ではこれは光速を超えることを禁じたアインシュタインを否定するのでしょうか…?残念ながら違います。この方法で光速を超えたメッセージを送ることはできません。パルスのオンオフを0と1として情報を伝えようとしても、パルスはできの悪いARソフトのように、遮ろうとしたあなたの手をすり抜けるでしょう。光パルスは本当は移動しているのではなく、電光掲示板の移動する文字のように、移動しているかのように見えるだけだからです。電光掲示板のいくつかの点が故障して映らなくなったとしても、流れる文字が故障していない場所で復活するように、光パルスはさえぎったとしてもまた先の方で現れるのです。これは常にツーという信号を出す電信のようなもので、とうてい情報を超光速で伝えることはできません。

ところで、短い波長の波ほど遅く進むようにすれば、逆行するパルスを作ることもできます。本当に奇妙なのですが、個々の波は右へ移動しているのに、パルスは左へ移動するのです。

これは創発――個々の要素からは予想しにくい現象が全体に現れる――を思い起こさせます。馬が走る様子は人によっては美しいと思うかも知れませんが、馬の骨や筋肉一つ一つに走るときの見事な動きがあるわけではありません。すべてが一つになって初めて走る動きが現れるのです。実際、生物はチューリング・パターンにより形作られる波を利用して体を作っているので、群速度と創発のアナロジーはあながち的外れでもないかもしれませんね。

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