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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

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光より速い光パルスの作り方

前回、光パルスを超光速で動かすシミュレーションを作りましたが、どうしてあれでうまくいくのかの説明はしませんでした。プログラムを書いた後は、それを魔法で終わらせるのではなく、どうしてそれが上手く動くのか原理を科学として理解しておきたいものです。幸いなことに、この原理はとても簡単で、小学生でも理解できるでしょう。


波が重なる点が群速度を決める

かんたんなケース(2つの波)

まずは簡単な例から説明します。波の群速度は、2つの波が重なるところをつなぐことによって決まります。

この図は、波1(赤い線)と波2(青い線)によってできる波の群速度(紫の線)を表しています。この図の見方をおさらいすると、タテに近いものほどゆっくりで、横に近いものほど速いのです。ですから、波1が一番遅く、波2はそれより速く、群速度はそれら2つよりとても速いわけです。

重要なのは、群速度が赤と青の線の交点によって図形的に決まるという点です。それにしてもどうして交点が群速度を決めるのでしょうか?それは、この図の交点は2つの波の山と山が重なり強めあっている点だからです(交点以外の線は山と谷が重なり弱めあっています)。つまり交点をつないだ線は「力強い何かが動いている」ように見えるのです。これが群速度です。やり方さえ教えてもらえれば、幼稚園児でも群速度の線を引くことが出来るでしょう!

光パルスの場合

基本はわかりました!ようやく前回の光パルスを説明することができます。光パルスの図はこうです:

たくさんある線に惑わされないでください。波の数が増えただけです。光パルスの場合も交点が群速度を決めるという基本原理は変わりません。波を増やしたのは、光パルスとは様々な波長の波が混ざりあったものだからです。たくさんの波はデタラメに混ざり合っているのではなく、このように速度を調節して混ぜられているのです。そうして群速度が現れるのです。

速度と波長

前回のシミュレーションでは、群速度が個々の波と同じ方向の時、「短い波長ほど速い」という性質がありました(群速度が逆行しているときは逆に「短い波長ほど遅い」)。どうしてそうなるのかは、ここまでの説明ではわかりにくいかも知れません。しかし、実際はとてもかんたんです。次のシミュレーションで、波の速度と波長の関係をたやすく理解できます:

波の速度:
群速度

[波の速度]つまみを左右に動かしてください。波を表す2本の線の角度が変わります(左端は遅く右端は速い)。それと同時に波の波長が変化することにも注意してください。そうです!群速度が右への移動なら、波の速度が上がると幾何学的に波長は小さくならざるを得ないのです。

群速度を←にチェックを入れると、群速度が逆行している場合の速度と波長の関係を表示します。そして[波の速度]を調節すると……そう、今度は逆に速度が上がると波長が長くなるのです!!前回のシミュレーションで群速度が逆行している場合とそうでない場合で波長別の速度の関係が逆転していましたが、何のことはありません。これだけの理由です。

全ては図形の問題です。前回のシミュレーションではどうして波長によって速度が違うのかわからなかったかもしれませんが、「全ての波が交点を通る」という条件を満たすためにはそうならざるを得ないのです。

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