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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

周りと協調した経路だけ生き残らせる

光がまっすぐ進むのは、まっすぐ進まない光は打ち消し合うからです。その分届く光は弱くなります。ということは、打ち消しの原因となる光をうまく取り除いてやれば、凸レンズのようにゴールに届く光を強く出来るようになりそうです。このしかけは回折格子と呼ばれています。


回折格子

操作方法

●か◎をドラッグ:ドラッグした●か◎を移動します。

鏡の一角□をクリック:鏡を削って光がそこを反射しないようにします。もう一度クリックで、鏡に戻ります。

解説

これは、回折格子という、光を強く反射する不思議な鏡のシミュレーションです。凸レンズのように、普通より光は強くなります。といっても、シミュレーション開始時は普通の鏡です。あなたは鏡の□をクリックして、回折格子を作り出さなければいけません。鏡をクリックすると、そこは削られて光を反射しないようになります。光が反射しないようにして光を強くするというのは矛盾しているようですが、光というのはいろいろな経路が足を引っ張りあって一部の経路のみが生き残っているものなので、足を引っ張っている経路を消してやれば、最終的なゴールにたどり着ける確率は高くなる――つまり光は強くなるのです。

身近な例は、CDです。CDには目に見えないほど小さな穴が開けてあり、回折格子になっています。CDには異様に明るい光の筋がありますからね。CDが虹色に光るのも、回折格子は、波長によって光の強まる位置が違うからです(青い光はストップウォッチが速く回転し、赤い光はゆっくり回転するため、打ち消し合いや強め合いの起きるタイミングが違うのです)。

次に回折格子の作成例を示します。答えをまだ見たくないのならスクロールしないで下さい。

この図は、ゴール◎にたどり着く光を強くできる、削るパターンの例を表しています。削ることによって逆に強くなるのです。(下の矢印を足してできた灰色の四角の面積が、光がゴールにたどり着く確率を表しています。この図のように鏡を削ると、灰色の四角は大きくなります)。

回折格子によって光が強くなるのは、足を引っ張っている光の経路を消しているからです。経路にはリズムのようなものがあり(ストップウォッチの針の方向のことです)、そのリズムから外れた経路(他の針と反対方向を向いている)は全体的な光を弱めてしまいます。そいつらを全部抹殺すれば、全体としては強くなるのです。ファシズムと似ていますね。

もう少し平和なたとえをするとしたら、これは私が中学の時授業についていけなくなって退学したクラスメイトのとったおもしろい行動とほんの少し似ています。彼は退学したのですが、その後勉強し直し、一年遅れて同じ高校(中高一貫でした)に入ってきたのです。じっさいこれはかなり筋の通った行動といえます。ついていけない授業に無理に出て苦しみ続けるよりは、いっそ一年遅らせたほうが内容もすんなり頭に入るはずです。回折格子もこの一周遅らせるということをやっています。ストップウォッチの針が回転して逆方向を向いている経路はスキップしているのですが、それはつまり次の経路は一周遅れているということです(しかしリズムはそろっています)。

このやりかたは、凸レンズが光を集める方法とは異なっています。凸レンズもストップウォッチのリズムを揃えるというところは同じです。しかし凸レンズはすべての経路を同じタイミングでゴールにたどり着かせます。真っ直ぐ進む光(一番早くゴールにたどり着く光)を遅らせるのです。ある意味、成績のいい生徒は遊ばせておいて、クラスの最後の一人が理解できるまで待ってあげるというやり方です。もっとも、これを現実の生徒でやれば、最後の一人はふてくされてやる気がなくなってしまうでしょう。

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