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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

鏡の反射

光が鏡に当たると、反射前と反射後が左右対称の角度になるように反射します。どうしてそうなるのかシミュレーションで確認しましょう。このプログラムはファインマンの『光と物質のふしぎな理論』第2章『光の粒子』が元になっています。


いろんな跳ね返り方を同時にする光

操作方法

●をドラッグ:ライト●の位置を変更します。

◎をドラッグ:光の行き先◎の位置を変更します。

表示の意味

このプログラムは鏡で跳ね返る光をシミュレートします。●が光を出すライトを表しており、◎は光の行き先、オレンジ色はその間を通る光の経路、下の灰色のブロックの集合体は鏡で、その中のストップウォッチはその経路を通ったときの行き先までかかる時間を表しています(ただし、ストップウォッチは何回も回転するので、一見して時間が経っていないようにみえるからと言って時間が短いということにはなりません)。

下にある矢印が繋がったS字状の謎の物体は、ストップウォッチの矢印を左から順番につなげたものです。灰色の四角は、●から◎まで移動する光の強さを表します。

解説

ふつう、光は鏡に当たると、入射角と反射角がおなじになるように反射するとされています。じっさいその解釈でほとんどの場合は説明がつきます。

しかし驚くべきことに、現実の光は鏡のすべての位置にあたって目的地まで移動します。●から出て◎まで移動する光は、じっさいに上のシミュレーションのオレンジ色の経路すべてを通るのです。ところが、鏡の端の方の経路は打ち消し合い、無視したとしてもあまり結果には影響せず、実質的に真ん中あたりの経路だけを通ると言っても差し支えないのです。それが、入射角と反射角はおなじになる、という言葉の意味です。

打ち消し合いの様子は下の繋がった矢印で見て取ることができます。跳ね返る光の強さは灰色の塗りつぶされた正方形の面積で表されています(正方形が大きいときは、光がよく跳ね返っていますが、正方形が小さくなっていると――たとえば●も◎も鏡の上からはみ出てていると――、その状態で●から◎へ移動する光はほとんどないということです)。矢印がS字を描いているため、幾つかの矢印は灰色の正方形の大きさに寄与していません。足を引っ張り合っています。足を引っ張りあっている矢印は、鏡の端の方のストップウォッチの矢印で、きちんと正方形を大きくしているのは、鏡の中央に当たる、入射角と反射角が等しい経路の矢印なのです。つまり入射角と反射角が等しい経路だけが灰色の正方形を大きくするので、近似として光はそこだけ通っているようなものというわけです。

これは光はスタートとゴールが決まっている時、最短時間の経路だけを通るという話の厳密バージョンです。実際には最短時間の経路だけを通るのではなく、考えられるすべての経路を同時に通るのですが、最短時間でない経路は矢印が足を引っ張り合っているので無視してもまあ大体大丈夫ということなのです。

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