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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

高さ付きランダムウォーク

コップの中に水分子がいっぱい入っている状況をランダムウォークで再現してみます。コップを破壊して水をこぼしてみましょう。


覆水盆に返らず

操作方法

マウスでドラッグすると茶色い地形を変えられます。最初はコップのように水を囲んだ地形になっているので、マウスでコップを壊してみましょう。水がこぼれます。

解説

これは、地面を流れる水分子のかんたんなシミュレーションです。水色の玉が水分子で、茶色い地形はポテンシャルエネルギー(≒高さ)です。最初は左右を高い壁に囲まれているためそこから出ることはできませんが、マウスで壁を破壊すると、自由になり広がります。広がった水分子はもとに戻りません。確率上はもとに戻る可能性は0ではないものの、ほぼ0なので、まあありえないと言ってっていいでしょう。覆水盆に返らずというやつです。エントロピー増大の法則とも言います。

ところが、覆水盆に返らずということわざには明らかに抜け道があります。ポテンシャルエネルギーを適切に変形させてやれば、また水分子は一か所に集まります。また、このシミュレーションではできませんが水分子を一つ一つつまんでコップに戻すとか。このシミュレーションでは、ランダムに動くはずの水分子を、一つ一つ精密に動かしたりすること無く、ポテンシャルエネルギーによって大雑把にコントロールできるのです。

じっさい、現実世界で私達がコップを使うのはこれが理由でしょう。水分子はほっとくと散らばっていってしまうので、高いポテンシャルエネルギーに囲まれた道具――コップを使って水分子をコントロールするのです。わたしたちの手は水分子を一つ一つつまめるほど器用ではないからです。流しやお風呂の排水口が少し低くなっているのもこれが理由です。高さによって水の流れをコントロールできるのです。

見方を変えると、これは赤ちゃんのベッドの柵でもあります。赤ちゃんがベッドから落ちないよう、高い柵で外に出ないようにするのです。赤ちゃんの動きは大人に比べるとでたらめというか落ち着きがないので、ランダムウォークで例えるのは理にかなった話です!

こうしてみると、身の回りのたくさんのものがポテンシャルエネルギー付きのランダムウォークで理解できそうです。道路のガードレールは車が歩行者に突っ込むのを食い止めるポテンシャルエネルギーの障壁となります。そもそも人が家を作るのは部外者が入ってくるのを食い止めるポテンシャルエネルギーの障壁を作るためではないでしょうか?まつげはホコリから目を防御する障壁です。動物の毛皮や脂肪の層もそうでしょう。

トランプ大統領が国境に壁を作ろうとしているのも、ポテンシャルエネルギーの障壁を作るためでしょう。なにしろ重力があるからポテンシャルエネルギーができるわけで、もし無重力状態で国境に数メートル程度の壁を築いても、軽々と乗り越えられてしまうわけです。ポテンシャルエネルギーの段差のない壁(そんなものがあるとして)を国境に築いても何の役にもたちません。国境の壁はポテンシャルエネルギーの障壁そのものと解釈していいでしょう!

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