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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

未来からの情報がある場合とない場合の驚きぐあいの違い

これまでに、普通のランダムウォークと、未来の情報がわかっている場合のランダムウォークのシミュレーションを書きましたが、その違いは何でしょう?


緩やかな変化

ふつうのランダムウォークとタイムトラベルつきのランダムウォークの違いは図を見れば一目瞭然です:

普通のランダムウォークの観測

タイムトラベル付きランダムウォークの観測

上の図はふつうのランダムウォーク粒子を観測した時の不確定要素の減少をあらわしており、下の図はタイムトラベルで事前にどこで粒子を観測するか知らされていた時の不確定要素の減少をあらわしています。ふつうのランダムウォークの場合は観測で一気に不確定要素が減少するのに対し、事前にどこで観測するかわかっていた場合は、すこしずつ不確定要素が減少するのです。

これはサプライズパーティーと、事前に予定を立てて楽しみにしているパーティーの違いに少しだけ似ています。サプライズパーティーはびっくりしますが、予定通りのパーティーは日付が近づくにつれ少しずつ期待が高まっていくでしょう(そのかわりびっくりすることはないのです)。

ただし、タイムトラベルと事前の予定には大きな違いが一つあり、それは予定は延期したり中止したりすることがありえるのに対し、タイムトラベルの場合は未来の送信者が嘘のメッセージを書いていない限り決して外れることはないという点です。環境破壊で人類が滅亡するという予測をすれば、人はそれをなるべく回避しようとするものですが、未来からお前は死ぬというメッセージが流れてきたら、それを回避するすべはありません。もちろん、私なら未来人に嘘のメッセージを書かせるよう手配します!

この2つ目の図はSF小説『アロウズ・オブ・タイム』の未来からのメッセージが流れてくる状況と似ています。

情報流の障壁はいまや穴だらけになって、知識勾配は平らになってしまった。過去は、未来が含むあらゆるものを含んでいる……それはつまり、未来は、過去が含む以上のものを含まないということ。

未来からメッセージが流れてくると、全く新しいことが期待できなくなってしまいます。未来と過去がおなじになってしまうということです。2つ目の図を見ると、たしかに未来の地点◎がまるで過去であるかのように不確定要素が小さくなっています。未来と過去が似た性質を持つようになるというわけです。

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