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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

チューリング・パターンの時間逆転解釈

半分冗談として、生き物のシマ模様を擬似時間逆転現象だと解釈してみましょう。水の入ったバケツに垂らした絵の具が拡散する様子を時間逆転するとバケツ中の薄い絵の具が一点に集るのとおなじように、どこも似たような色の皮膚を時間逆転すれば、どこかに濃い色が集中するでしょう。集中させる方法によってはシマ模様になるはずです。


チューリング・パターン

数学者アラン・チューリングの考案したチューリング・パターンは、シマウマのしまやネコの斑点のようなパターンを作り出す計算です。模様がないまっさらな状態からスタートしても、ごく僅かなノイズがきっかけとなり、自発的に模様を作り出します。次の図は1次元のチューリング・パターンです。はじめ赤い物質が均等に存在していますが、小さな刺激を加えられ、赤い物質は周期的な波のような濃度のパターンを作り出します。これはシマウマのシマ模様を皮膚の断面から見たようなものです。

時間逆転解釈

これはある意味時間逆転現象です。時間が逆転していたら、バケツの水の中に薄く広がった絵の具が一点に集まるでしょう。同様に、チューリング・パターンでは、赤い物質がいくつかの点に集まろうとしているわけです。

もちろん絵の具のこの例とチューリング・パターンには違いもあります。チューリング・パターンは一か所に物質が集中するのではなく、均等な間隔で濃度の山が生まれます。しかしそれは時間逆転でもあり得る話です。もしバケツに均等な間隔で絵の具を垂らしたら、やはり拡散してバケツの水はどこも同じ色になるでしょう。

時間逆転現象は、スタートが同じでも同じゴールになるとは限りません。これこそが、私達がボロボロでかすれた古文書の文字を読めない理由です。その古文書の過去は無数にあり得るのです。同じように、バケツの中の均一な絵の具水も、たくさんの時間逆転方法があるというわけです。チューリング・パターンも時間逆転現象のうちの1つだと言えます。

合成と分解による移動のシミュレーション

もう少しこのチューリング・パターン=擬似時間逆転現象仮説を疑ってみましょう。チューリング・パターンの細かいメカニズムは明らかに時間逆転ではありません。チューリング・パターンは化学物質を不自然に移動させているわけではなく、物質の合成、分解、拡散をしているだけです。なのにこれを時間逆転などと呼ぶのはこじつけではないでしょうか?

ある意味ではそうですが、しかし筋の通ったこじつけです。というのも、物質の合成と分解を使えば、物質の移動をシミュレートできるからです。SFでよくある移動方法について考えてみましょう。あなたは遠く離れた星に行くため、自分の体を分解し情報だけをその星に送ります。あなたはそこで組み立てられるため、この世から永遠に消え去るわけではありません。主観的には、別の星に瞬間移動したように感じられるでしょう。チューリング・パターンも同じです。チューリング・パターンは物質を分解し、別の場所で合成することによって、物質の移動と同じことを行います。具体的には、次の図のようになります:

チューリング・パターンは、赤い物質が濃いところ(赤い山)では合成がさかんで、薄いところ(赤い谷)では分解のほうがさかんです。これは、薄い所から濃いところへ赤い物質を瞬間移動しているのと同じです。濃いところと薄いところがあるのは、薄いところが転送装置の入口になっていて、濃いところに出口があるからです。チューリング・パターンは、自然な時間の流れによる拡散に、SF的物質転送で逆らっているのです。拡散しても、分解&合成で、拡散前に時間を戻しているのです。

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