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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

細菌の泳ぎでエジソンの「上手く行かない1万通りの方法を見つけただけだ」を説明する

エジソンは発明の過程で何度も失敗したことを記者に問われ、「私は失敗したのではない。上手く行かない1万通りの方法を見つけただけだ」と答えたとされます(実際にはこの通りのことを答えたのではなく、もっと長ったらしい文章で似たようなことを答えただけのようです)。この行動方針を大腸菌の泳ぎで説明することはできるでしょうか?


普通の人は失敗した時どうするか

まず比較のために普通の人ならどうなるかを考えましょう。何かを発明しようとして1万回失敗したとなれば、進歩を感じられなくなって諦めるでしょう。これは大腸菌が、より多くの餌を手に入れられなくなった時方向転換する(進歩を感じられなくなった時今の行動をやめる)のと同じです。

ではエジソンは大腸菌とは違う行動原理なのでしょうか?

何を進歩と感じるかが違う

私が想像するに、エジソンも大腸菌と同じく進歩を感じられなくなったものは止めます(彼は小学校を止めたのです)。彼はおそらく、「上手く行かない方法を見つける」というのが進歩の一種だと考えていたのでしょう。そこから学べることがあるからです。少なくとも、次にその間違いを繰り返すことはないという意味で、成功する確率は上昇していると言えます。

つまり、何を進歩と感じるかによって、持久力に大きな違いが生じるのです。彼が特別辛抱強いわけではなかった可能性があります。

2つのレベルの行動が関わっている

また、上手く行かないアイデアの実験をそこで打ち切るというのも重要です。「エジソンは辛抱強く研究を続けた」というのは一つの見方ですが、「エジソンは上手く行かなかったやり方の実験にはすぐ飽きて別のやり方で実験を始めた」とみなすことも出来ます。つまり、あるレベルでは辛抱強く、別のレベルでは飽きっぽいのです。

私が思うに、人は飽きっぽさを完全に押さえ込むことは出来ません。だから何かを辛抱強く続けようと思えば、どこかに「飽きっぽい」とみなされかねない要素を含めておく必要があるのです。エジソンの場合はたくさんの実験をするというのがそれで、これは辛抱強いとも飽きっぽいとも言うことが出来ます。

私の記憶では、ディープラーニングの研究でその日のうちに結果の出る実験以外はしないという方針を取っている研究者がいました。これは飽きっぽいと言えますが、その種の実験を何度も続けているという点では辛抱強いとも言えるわけです。

エジソンの研究方針は、2つのレベルで大腸菌っぽいと言えます。あるレベルではたしかに実験に失敗していて、次は別のやり方で実験を始めるわけです(大腸菌のランダムな方向転換)。しかし別のレベルでは失敗ではありません。失敗する方法を見つけているわけですから成功する確率は上がっていっているはずです。つまり進歩しているので「実験を何度も繰り返す」という行動はそのまま継続するわけです(大腸菌はエサが増えているときにはその方向に進み続ける)。

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