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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

スイッチとタイムトラベル

ダーウィンが『人口論』から進化論を思いついたように、一見違ったものに共通点が見られることがあります。ここではスイッチとタイムトラベルの共通点に注目します。スイッチはOnかOffかしか許されません。無理やり指で中途半端な状態にしてもすぐにどちらかに状態が変化します。同様に、未来から0か1がやってきたら、これから必ず0か1を過去に送ることになるのです。子供が人形を使ってごっこ遊びをするように、私達もスイッチを使ってタイムトラベルごっこをすることが出来るでしょう。


未来から0がやってきた時

では具体的にスイッチとタイムトラベルはどう対応するのでしょうか?次のようなケースを考えましょう。Onになっているスイッチがあるとします。これをOffにするには、ある程度指で力を加えなければいけません。中途半端な力では、Onにもどります。次の図は、この状況のエネルギーを図にしたものです。OnとOffは両方共エネルギーの低い状態で、間に山があり、片方からもう片方に移動するにはある程度力を加えなければいけません。

ある意味、これは未来から「未来の状態はOnだ」という情報が来たときのタイムトラベルのシミュレーションをしているといえます。未来の状態がOnだったなら、間にどんな出来事があるにせよ、未来の状態はOnになるのです。これを「シミュレーション」と呼ぶのは少し大げさかもしれませんが、現実のコンピュータとシミュレートされる現象だってこれと同じくらい乖離はあります。台風のシミュレーションをしてもコンピューターの周りが水浸しになるわけではないのと同様に、スイッチをいくら切り替えても宝くじの当選番号はわからないというだけです。

スイッチは、スイッチの今の状態――上山の図で言うと、水玉が左半分にあるか右半分にあるか――が同時に未来からのメッセージでもあります。今Onなら、未来もOnなのです。

未来からの情報の切り替わり

スイッチがタイムトラベルのシミュレーションだったとして、疑問も残ります。スイッチはタイムトラベルと違って、ある程度力を加えたら、安定する状態が変わります。これではタイムトラベルとは呼べないのではないでしょうか?これはもっともな疑問ですが、解決が全く不可能というわけでもありません。タイムトラベルも、「未来からやってきた情報が嘘だった」時、状態は切り替わります(次の図)。

この図では、未来からやってきた情報と現実の未来が一見違います。にも関わらずタイムパラドックスは生じません。未来から現在にやってくる間に、情報が書き換わってしまったのです。たとえるならこうなるでしょう:未来のあなたから「宝くじに当選する」というメッセージが来た場合、そのメッセージが本当なら宝くじに当選するでしょうが、それがただの冗談だという可能性だってあるのです。

スイッチの切り替わりもこれと同じようなものだと解釈できます。スイッチがタイムトラベルのシミュレーターなら、スイッチの切替えは未来からの情報が変わる現象だと解釈できなくもありません!私たちは電気をつけたり消したりする時、未来を書き換えているのです!

デジタル式である理由

スイッチがタイムトラベルシミュレーターなのだとしたら、どうしてスイッチにはOnOffしかないのでしょう?アナログ情報をおくるタイムトラベルだってあるかもしれません。

それはたしかにそうなのですが、身近な物体でタイムトラベルをシミュレートしようというときにアナログ式は不便です。アナログ式の操作パネル(レンジのつまみのように、なめからかに動かせる入力装置)では、タイムパラドックスが起きてもそれを修正できません。滑らかであることはいい面もありますが、悪い面もあります。なめらかに動かせると、何が正しくて何が誤差なのかがわからなくなるからです。

デジタルは中間の値を切り捨てるからこそ、正しい値に修正しやすいのです。タイムトラベルを身近な物でシミュレートしようと思ったら、デジタルなものだと、未来の情報に合わせやすいのです。デジタルとタイムトラベルシミュレーションは相性が良いのです!

まとめ

あらゆるスイッチは1ビットの情報が未来からやってきたときのタイムトラベルのシミュレーターだとみなせます。未来からの情報は現在のスイッチの状態によってコードされており、生半可な力ではそれを切り替えることはできません――タイムパラドックスになるからです。しかし、十分大きな力を加えると、状態を変えることができます。不思議なことに、これもタイムパラドックスではありません。この場合は、未来からの情報が途中で変わったタイムトラベルだとみなせるのです。身の回りのたくさんのものがタイムトラベルシミュレーターなのです!!

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