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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

共鳴、時間逆転、タイムトラベル

時間逆転減衰振動と光のタイムトラベルは、共鳴によく似た現象です。ここでは、これらの間にどのような関係があるのか復習します。


共鳴

共鳴は現実世界でありふれた現象です。ガラスのコップが何もしていないのにひとりでに割れるのです!もちろん「何もしていないのに」と言うのは嘘で、実際にはコップの固有振動数にあった音がなっていて、その音のエネルギーが少しずつコップにたまっていき、割れるのです。音の周波数が合っていなければ、たまったエネルギーはすぐに逃げていきくため、割れたコップの後片付けをしなくて済みます。

共鳴が起きるポイントは、タイミングです。コップは、音が当たるとエネルギーがたまるときと逃げるときという2つの状態の間で高速に揺れ動いており、そのタイミングを上手く合わせると――つまり音の周波数を適切なものに調節すると――限界にまでたまったエネルギーでコップは割れるのです。

時間逆転減衰振動

催眠術をかけるための振り子は、持つ人が動かし続けないとやがて止まってしまいます。空気抵抗により、振り子のおもりが持っていたエネルギーは熱として空気中に逃げるのです。これの逆再生動画を見てみると、最初止まっていたおもりが空気中から熱としてエネルギーを吸収して勝手に動き出すという不気味な現象です。これが時間逆転減衰振動です。

これはある意味、共鳴と同じです。共鳴は、耳の聞こえない人が見たら(あるいはあなたが音声をミュートして、共鳴の動画を見たら)、時間逆転減衰振動とほぼ同じです。空気中からエネルギーを取り寄せて勝手に動き出すからです。

じっさい、時間逆転減衰振動も、空気中から熱としてエネルギーを吸い取り、勝手におもりが動き出します。この時、周りの空気分子はちょうど子供がブランコを漕ぐ時のように、タイミングよくおもりに衝突します。逆再生動画の分子の運動は、しばしば秩序だった動きをするのです(ただし、分子が見えるほど高倍率の動画はまず見つからないでしょう。あくまで、なにもないところから何かが生まれたかのようにみえるのが逆再生の面白さの秘訣です)。

現実世界の共鳴も、時間逆転減衰振動も、空気分子がタイミングよく衝突することによって起きます。ではタイムトラベルではどうでしょう?

光のタイムトラベル

光が、タイムマシンで過去に戻り、自分自身となってもう一度光の人生をやり直したとします。そうすると、未来にまたタイムマシンで過去に戻ることになり、それを永遠に繰り返すでしょう。

このとき、光がタイムパラドックスを避けるためには、未来からやってきたときと過去へ行く時の波の状態が完全に一致していなければいけません。つまり、<人生やりなおし機>で人生をやり直したとしても、その人生は以前のものと寸分違わず同じでなければいけないのです。どのくらいの波長だと避けられるかは、光の人生を仮想的に何度もやり直させることによって計算できます。タイムパラドックスを引き起こす危険な波長の光は、波の性質により自分自身と打ち消しあって消滅します。これを可能な限りのすべての波長の光に対して行うと、タイムパラドックスを起こさない安全な光のみが生き残りきれいなループを形作るでしょう。

ここで重要なのは、生き残る波とは、前の波と息がぴったりあった波だという点です。つまり、タイムトラベルの計算も共鳴に似ているのです。共鳴が起きれば良い波で、起きなければタイムパラドックスを引き起こす悪い波です。

もしタイムトラベルのシミュレーションをするとしたら次のようになるでしょう。ランダムに光を選んでシミュレーション世界で共鳴を起こすか調べるというのを、共鳴する光が見つかるまで何度もくりかえします。共鳴を起こす光が見つかったら、それをシミュレーション宇宙に定着させ、ループから抜け出し、宇宙の時間を進めます。共鳴を起こす光が見つからない間は、何度もループを繰り返さなければいけません。次に進めないのです。

共通点と違い

3者の間には「タイミングを合わせる」という共通点があるものの、その時間スケールはかなり違います。

共鳴の場合、タイミングを合わせるのは一秒間に数百回ですが、時間逆転振り子の場合は数秒(振り子が揺れる時間)に一回です。タイムトラベルの場合は更に長く、1年前に戻るタイムトラベルなら、一年間に一回です。共鳴は数百分の一秒前に起きた現象が次に起きるときにタイミングを合わせ、時間逆転振り子では数秒前の現象にタイミングを合わせ、タイムトラベルなら一年前に合わせるのです。

これは私の感想ですが、時間逆転とタイムトラベルの場合はもうちょっと似ているかと思っていました。これほど両者の時間スケールが違うとは予想していませんでした。もっとも、別のタイムトラベル現象ならもっと近い時間スケールなのかもしれません。

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