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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて
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足を動かさないでいると血の巡りが悪くなるエコノミークラス症候群は、第2種永久機関<マクスウェルの悪魔>への熱供給が立たれ、マクスウェルの悪魔が動作を停止してしまったために起きる現象と解釈することができます。
マクスウェルの考えたオリジナルのマクスウェルの悪魔は室温の空気をエネルギーを使わずに熱い空気と冷たい空気に分け、その温度差でピストンを回し発電できるものでした。このページではこれを少し変形させ、エネルギーを使わず水を汲み上げる悪魔を考えます。そうすればあとで水力発電できますからね。
上の図のように、2つの部屋が弁付きのしきりでわけられている機械を考えてみましょう。弁のおかげで、水分子は下から上へはいけますが、上から下へはいけません。ということは、この機械に水を入れると、水は下から上へ流れるということになります!弁をこじ開けるので、分子は少し遅くなり、水の温度は少し下がるかもしれませんが、どうせ周囲から暖められてすぐにもとの温度に戻ります。
さらに、この機械をつなげて管にしてみます。そうすれば、下の貯水池から上の貯水池へエネルギーを全く使わず水を汲み上げる魔法の管を作ることが出来るでしょう。この管でストローを作って水の入ったコップに刺せば、勝手に水が上から溢れ出てくるに違いありません。
この魔法の管は下から上へ水を吸い上げます。重力に逆らっているにも関わらず、全くエネルギーを消費することがありません(ただし、周囲から熱を吸い取ります)。汲み上げた水が下流に流れる勢いで水力発電すれば、エネルギーが周囲の熱から勝手に生み出されることになります!
…実際にはこの魔法は動作しません。おそらく、弁が水分子のやってくる方向を判断しているあたりで、無駄にエネルギーが浪費されます。永久機関など作ることはできないのです。夢を見るのはいいことですが、実現不可能な夢を見てもしかたありません。
しかしだからといってこの仕掛が全くの役立たずだというわけでもありません。分子の運動である熱を人が自由に使えるエネルギーに変えることはできませんが、もう少し大きい塊の運動なら、自由に使えるエネルギーに変えることができます。たとえばこの管が血管ほどの太さで、周りから筋肉の動きによる刺激を受け取っていれば、弁がきちんと動作して血は上に汲み上げられるでしょう。実は、静脈はこのような構造になっているのです。
静脈弁(wikipediaより)。弁によって血の流れが決まります。
ずっと足を動かさないでいると――たとえば長時間飛行機に乗っていると――、静脈の血は流れにくくなり、血栓ができることがあります。これは、足の動きが静脈の血を運ぶ動力源(の1つ)になっているからです。静脈には弁がついており、足を動かすとその筋肉の刺激で血は上がります。筋肉の動きは直接血を心臓に運ぼうとはしていませんが、弁によって血の流れを制御することによって、流れができるのです。
これは大変面白い話です。足の運動は一見、静脈とは何の関係もないように思えますが、実は静脈にはなくてはならないものだったのです。
そして、この仕掛けは水ポンプ悪魔のエネルギー源である熱を、足の筋肉の動きに置き換えただけだということもご理解いただけるでしょう。分子のランダムな運動である熱はエネルギー源とするにはあまりに無秩序すぎるのですが、筋肉の収縮のようにある程度方向が定まった秩序ある運動ならば、上述のしかけを動作させることは十分可能なのです。まあ、秩序だった動きがあるのならそれをそのまま目的のために使えばいいので、永久機関とは呼べないわけです。
ともかく、ここから面白い結論を導くことができます。エコノミークラス症候群は、擬似マクスウェルの悪魔の動作不良なのです。無駄になるはずのエネルギーを吸い取り動くのがマクスウェルの悪魔なのに、その無駄になるはずのエネルギーすらも与えられなくなったらマクスウェルの悪魔は動作しません。筋肉の動きがなくなれば、血液を足から心臓まで組み上げることができなくなってしまうのです。