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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

物体別のポテンシャルエネルギー

柔らかい布団にボウリングの球を置くと沈み込みますが、卓球のピンポン玉をおいてもほとんど沈み込みません。なぜでしょう?もちろん、ボウリングの球にはより強い重力がかかるからです。これをポテンシャルエネルギーの観点から説明しましょう。


同じ世界、違う世界観

話をかんたんにするため、ふとんをバネの集合体とみなし、ボウリングと卓球の球をそれぞれ次のように考えます。

そう!重たいものほど沈み込むのです!より強い重力によってバネを強く曲げるからです。これをポテンシャルエネルギーの観点から見るとこうなります:

前者はボウリングの玉で後者はピンポン玉です。ボウリングの方が重力が大きいので、沈みぐあいが違うのです(このグラフは縦がポテンシャルエネルギーで、横軸が沈み具合です。右側に行くほど沈み込んでいることを意味します。灰色の点線は全く沈み込んでいない時の位置です)。

なぜこうなるのか

ボウリングの球のほうがピンポン玉より大きな重力がかかるため、重力によるポテンシャルエネルギーも大きくなります(ではどうしてボウリングもピンポン玉も(空気抵抗がなければ)同じ速度で落下するのかというと、ボウリングの球のほうが重くて動きにくいからです。強い重力がかかってはいますが、そもそも重い物体は動きにくいので、速度はおなじになるのです)。

いっぽうで、ふとんによるポテンシャルエネルギーはボウリング球もピンポン玉も変わりません。なので、ポテンシャルエネルギー全体で見ると、一番へこんでいる位置が変わるのです。

この図から学ぶべき一番の教訓は、物体によって周りの世界のポテンシャルエネルギーは違うということでしょう。人間にとって猫はかわいいペットかもしれませんが、カナリアにとって猫は怪物なのです。同様に、ボウリングの球にとってふとんは容易くへこませることのできるやわらか素材かもしれませんが、ピンポン玉にとってのふとんは強大な障壁なのです。

アリストテレスは目的論で世界を説明したそうですが、彼にこの図を見せればボウリングの球とピンポン玉は違う目的地を持っていると言ったかもしれません。ボウリングの玉はより沈み込んだ位置が目的地で、ピンポン玉は浅い場所が目的地なのです。

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