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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

タイムトラベル確率の一般的な計算方法

タイムトラベルした時、確率は歪みます――あなたがどんなに工夫をこらしたとしても、子供時代のおじいさんを殺せる確率は0%です。この歪みを計算するにはどうすればよいでしょう?このページでは、どんなときにも使える歪みの計算方法をメモしておきます。


応用のきく計算方法

以前、タイムトラベルでランダムウォークする粒子の未来の位置がわかったら確率がどうなるかを計算しましたが、それは「未来に左に行くことがわかっていたら左に行く確率が大きくなり、右に行くことがわかっていたら右に行く確率が大きくなる」という至極当然な式になっていました。これも面白いと思いますが、今回はランダムウォーク以外のケースにも適用できる計算について考えます。なにしろ、迷路のような状況なら、左にあるゴールへ行くのに左へ行くのが正解とは限りませんからね。

どんな場合でも使える計算は、考え方は非常にかんたんです。タイムトラベルがない場合の確率の図を描いて、それをタイムトラベルによってわかっている未来から時間を遡りながら確率を修正していくのです。

この方法はランダムウォーク以外でも使えますが、ランダムウォークはとてもかんたんなので、ここではランダムウォークを使って説明します。

ステップ1:タイムトラベルがない場合の確率の図を描く

ランダムウォークは左に行く確率も右に行く確率も等しく1/2です。

ステップ2:タイムパラドックスを避けられる確率を書きこむ

未来のあなたが、ランダムウォークは◎に行くと教えてくれたので、そこに1を書き込みます。これは、「その場所が未来からのメッセージを満たす確率は1だ(タイムトラベルによる確率の歪みがなくても)」という意味です。◎地点が1なのは、未来からの情報をそのまま使っているので、100%矛盾しないからです。

この調子で、過去の○にも確率を書き込んでいきます。

1/2と書いてあるのは、「その場所が確率の歪み無しで◎にたどり着く確率は1/2だ」と言う意味です。この数字はいわば、(不気味な神の見えざる手なしで)タイムパラドックスを回避できる確率と考えることができます。数字が大きければ大きいほどよいのです。大きい数字の○につながるように、矢印の確率をこれから修正していきます。

ステップ3:確率を修正する

矢印の確率を次の式で修正していきます。

新しい矢印の確率 = 古い矢印の確率 × 行き先の確率 / 前の確率

具体例として、1/2→1という矢印の確率で考えましょう。

新しい矢印の確率 = (1 / 2) × 1 / (1 / 2)
               = 1

修正前は矢印の確率は1/2だったのですが、修正後は1に増えました。これは、行き先がタイムパラドックスを回避できる確率が現在地より2倍も大きいからです。今の計算の目的は、タイムパラドックスを回避することなので、よりタイムパラドックス回避の可能性が高い方へ行く確率を大きく修正する必要があるのです。

ランダムウォーク以外への応用

ここでは説明のためにランダムウォークを使いましたが、確率的に状態が変化するもの(現実世界はそうです)ならなんでもこのやり方でタイムトラベルした時の歪んだ確率を計算できます。

基本的にこの考え方は、「目的を達成するためには、現在自分の取れる選択肢のうち、なるべく目的を達成できる確率が高いものを選ぶようにせよ」という当然のことを言っているにすぎないのです。そして当然の話というのは、応用範囲が広いという極めてありがたい性質を持つのです。

特定のケースに特化しすぎた計算方法は、一見すごいようですが、応報範囲が広い計算方法よりかなり単純だったりしない限り、話を不必要にややこしくするだけなのです。以前導いたタイムトラベル・ランダムウォークの確率の計算方法――「未来に左に行くことがわかっていたら左に行く確率が大きくなり、右に行くことがわかっていたら右に行く確率が大きくなる」――は、「未来に左に行くことがわかっていたら、これから左に行ったほうが予言通りになる確率が高いので、左に行く」というふうに、今回の考え方で説明できてしまいます。まあ、この計算方法は十分に単純なので、役立たずというわけではありませんが。

例え話による理解

実はわたしたちもこれと似たような計算を行っています。良い大学(それが何を意味するのかはさておき)に行こうと思う子供は、良い大学への進学率が高い高校を選ぼうとするでしょう。それは、その高校にいると良い大学へ行く確率(上の計算で○の中に書き込んだ数字)が高くなるからです。そういうわけで、もしそのような情報(進学実績!)がなければいかなかったであろう高校へ行こうとする確率(矢印の確率)が高まるのです。

とはいえ、この理屈には少し罠があるような気もします。良いとされる高校に行ったところで自分が勉強しなければ大学に合格することはできません。結局、ある高校にいたとき良い大学へ入れる確率というのは、他人の行動の結果から出した数字であり、自分がどうなるかはこれから決まるのです。

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