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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて
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前回は2つの区別できる粒子のシミュレーションでしたが、今回は光子と光子、電子と電子のように同じ種類の粒子のシミュレーションを行います。
前回、2つの粒子のシミュレーションを行いましたが、その2つは違う種類の区別できる粒子でした。
今回は、全く同じ種類の粒子2つのシミュレーションを行います。たとえば電子はこの宇宙の中にあるどの電子も完全に同じで、区別できません。このばあい、2つの電子は位置を入れ替えてもその状態の確率は全く同じです:
この赤と青の丸は電子のつもりですが、実際には電子を区別することは不可能なので、本当は同じ色で描くべきなのです(反面教師として色はそのままにしてあります)。前回のシミュレーションではこの2つの確率は違いました。区別できたからです。
量子コンピュータの父、デイビッド・ドイッチュは、このことをお金と馬で例えています。私達が馬を借りたとき、返す馬は借りた馬と同じでなければいけませんが、1ドル借りたとき返す1ドルはもとの札と同じである必要はありません。電子は馬ではなく1ドルなのです。
前回のシミュレーションと違う点があと一つあります。それは、素粒子は2種類に分類でき、その2つで同じ位置に存在できるかどうかが違うからです。
全く同じ2つのフェルミ粒子は同じ位置に存在できません。2つを衝突させると反発したりします。物質を構成する粒子です。
同じ位置(正確に言うと、同じ「状態」)に存在できないというのは重要です。このルールがなければ、原子核の周りの電子は皆同じような状態に入り込んでしまい水素原子のような単純なものしか存在できなくなってしまうはずです。電子はすでに「満室」になった原子の軌道を避けるため、色んな種類の結合をするようになり、私達の知っている生命が誕生したわけです。このルールは多様性を生むものなのです。
ボース粒子は複数が同じ位置に存在できます。光と光をぶつけても幽霊のようにすりぬけるのです。
では以上の2つの要素を入れたシミュレーションを見てみましょう!
これは2つの粒子が1次元空間上を動くシミュレーションです。チェックを入れることによってフェルミ粒子かボース粒子かを選ぶことができます。
このシミュレーションには、詳しい理屈を知らなくてもすぐに気付ける前回との違いがあります。(ななめに)左右対称なのです。
フェルミ粒子(物質粒子)の波動関数。形は左右対称ですが、色は補色の関係になっています。
ボース粒子の波動関数。形も色も完全に左右対称です。
前回のシミュレーションでは違う種類の2つの粒子なので左右対称ではありませんでしたが、今回のように、同じ種類の2つの粒子だと左右対称になります。どうしてかというと、前述の「区別できないなら同じ」ルールのせいです。左右対称になっている箇所は、2つの粒子の位置を取り替えた箇所なのです。
というわけで、観測したときも2つの場所に波が生き残ります。左右対称だからです。今回、マウスの位置を表す透明な白い箱が2つ表示されるのは、「区別できないなら同じ」ルールのせいだったのです。