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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

かんたん量子力学 2状態ベクトル形式

今回は量子力学の解釈の一つ、2状態ベクトル形式についてです。2状態ベクトル形式では、宇宙の歴史は既に最後まで決まっていると考えます。


2状態ベクトル形式とは?

2状態ベクトル形式とは量子力学の解釈の一つで、宇宙の運命は既に最後まで厳密に決定しているという考え方です。ただし、その運命は誰も知らないし知る方法もないので、私達には量子力学が確率的なものに見えるというわけです!

へりくつにしか聞こえないかもしれませんが、ヤキール・アハラノフは実際にこの考え方から弱測定という有意義な考え方をひねり出しています(「宇宙の未来が決める現在」日経サイエンス)。正しいかどうかはともかく、考え方を理解しておくくらいはしてもいいかもしれません。

2つの波動関数によって歴史は決まる

次の図は、ヤキール・アハラノフらによる2状態ベクトル形式の概念図です(The Two-Time Interpretation and Macroscopic Time-Reversibilityより)。

この図は(a)多世界解釈と(b)(2状態ベクトル形式による)二時間解釈を表しています。多世界解釈では、宇宙は分岐していきます。一方、2状態ベクトル形式では、たくさんの宇宙の分岐を考えるのは多世界解釈と同じですが、宇宙の真の歴史は一つしかありません。それは、はるか未来から現在に影響を与える運命ベクトルΦによって選ばれるのです!未来は既に決定しているので、それが実現するような歴史だけが現実となるのです。

2状態ベクトルというのは、過去と未来の波動関数のことです。宇宙の始まりと終わりの状態はすでに決定しており、そこからその間を計算すると考えるのです。

すこしずつ縮んでいく確率の雲

ではこの考え方を使って、粒子の確率の雲が少しずつ縮んでいく様子を見てみましょう。量子力学の標準では波動関数は観測によって一気に収縮しますが、未来を知っていれば、いま粒子がどのあたりにあるかがすこし限定されそうです。

運命ベクトルΦ

歴史ベクトルΨ

粒子の存在確率(2状態ベクトルで計算)

位相の表示方法

操作方法:ボタンを押すと、5秒後に粒子が観測されます。

これは2状態ベクトル形式で計算した粒子の存在確率のシミュレーションです。私達は未来に粒子がどこで観測されるかを知っているので(本当はそんなことは無理ですが、シミュレーションならありです)、未来の波動関数から、現在のより正確な確率の雲を計算することができます。

ここには3つのキャンバスが表示されています。①未来を決める運命ベクトルΦ、②通常の量子力学で使われる波動関数と同じ過去からやって来る歴史ベクトルΨ、③その2つから計算した粒子の存在確率です。

ここでは③に注目してください。これが粒子がどこにあるかを決めます。図形はツチノコのように太いところと細いところがありますが、太いところが粒子が存在する確率が高いということを意味しています。ほかの波動関数と同じですね。

では観測ボタンを押してみましょう。そうすると、③の図形がすこしずつ収縮していきます。未来に観測されることになる場所に向けて図形が変形していくのです。

※もちろん、現実の量子力学の実験では、未来にどこで観測されるかを知ることはできないため、順番を逆転させ観測した後に観測前の状態について考えます(事後選択)。これはタイムトラベルについて考えるときにも役に立つテクニックです。まあ、2状態ベクトル形式は未来の情報を考えるという意味でタイムトラベルと同じですからね。

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