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世界線とエネルギーの復習

世界線の読み方を復習します。エネルギーが大きいときと小さい時とで世界線はどう変わるでしょう?


粒子が止まっている時

エネルギー 0
自由エネルギー 0

止まった粒子の世界線は、縦にまっすぐです。時間が流れても、変化なしということです。

この粒子に運動エネルギーはありません。運動エネルギーとは航行中の飛行機やロケットのように、動いている物体が持つものだからです。あなたはこのような粒子を見つけたとしても、そこから自由に使えるエネルギーを絞り出すことができないのです。

粒子が動いている時

エネルギー あり
自由エネルギー ないかもしれない

動いている粒子の世界線はななめです。時間が流れると位置が変わるからです。

この粒子に運動エネルギーはあります。動いていますからね。しかし、速度が十分に速くないとそれを人が有効利用することはできません。一見、粒子の移動先に水車のような装置を置けば、水力発電のようにエネルギーを回収できるのではないかと思えます。しかし、粒子の移動先の情報をメモリに保存しそれを次回の利用のためにクリアするとき、ある程度エネルギーを消費してしまうのです。粒子の速度が遅いと、エネルギーを得た以上に情報処理でエネルギーを失うというわけです。というわけで、時空図を見てこのような世界線を発見したとしても、それはあなたのスマホ電源にはなってくれないかもしれません。

たくさんの粒子が同じ方向に動いている時

エネルギー あり
自由エネルギー あり

これは、たくさんの粒子(10個あります)が同じ方向に動いている時の世界線です。わたしたちの身近にある動いている物質は全てこれと似たような世界線をしています。ボールは大量の原子の集合体なので、それを投げれば、それらすべての原子が同じ方向に動くことになるからです。私たちが普段目にするは単独で動いている原子ではなく、たいていは原子のかたまりなのです。

これは動いているので運動エネルギーを持っています。そして、うまくすればそれを水力発電のように活用できます。粒子の情報を扱うとそれだけでエネルギーは消費されてしまうというのが単独で動いている粒子で発電する時の難点でした。しかし今回はたくさんの粒子が同じ方向に動いているため、あつかう粒子の情報は一つだけでよく、得られるエネルギーに対して失うエネルギーの割合は少なくなります。同じような動きをしている粒子がたくさんあれば、人類はそのエネルギーを自由に使うことができるのです。

わたしたちの発電所は、全てこのやり方で動いています。少ない情報で、たくさんのものの動きを予測し発電に利用するのです。たとえば水力発電の場合は水の流れは一定で、天候がおかしくなって川が逆流したとしても、熱のランダムな分子運動よりは秩序だっています。火力発電の場合は熱したガスが普通の空気を押しのける動きは予測しやすいですし(常温常圧の空気が高温高圧のガスを押しのけるなんてことがありえるでしょうか?)、風力発電は風がだいたい安定している地域なら予測できます(なので、風向きがよく変わる地域には向いていないのです)。物質のわかりやすい動きが私達の日常生活を支えているのです。

重力

エネルギー あり
自由エネルギー あり

たてにまっすぐな世界線は静止した物体なのでエネルギーを持っていないと言いましたが、例外があります。たとえば、重力を持った物体が近くにある場合です。

重力は、平行な世界線の角度を無理やり変えてしまいます。リンゴが木から落ちる時のように、止まっているはずのものが何故か動くのです。これは、あたかも高い場所にあるものが潜在的なエネルギーを持っているかのようであることから、ポテンシャルエネルギー(潜在的なエネルギー)と呼ばれています。ポテンシャルエネルギーには世界線を曲げる力があります。世界線がたてにまっすぐだからと言って「こいつにはエネルギーがないな」などと油断してはいけないのです。

補足:静電気

重力だけでなく、静電気にもポテンシャルエネルギーはあります。プラスとマイナスは引き合い、同じ符号同士は反発し合うのです。

熱いものと冷たいもの

熱いもの

エネルギー たくさん
自由エネルギー 0

冷たいもの

エネルギー すくない
自由エネルギー 0

熱いものは世界線がぐちゃぐちゃしています。熱いものとは分子が激しく衝突しているものなので、それだけぐちゃぐちゃなのです。このぐちゃぐちゃさのせいで、せっかくたくさんあるエネルギーを、そのままでは人類は利用することができません。もし宇宙がすべてこのような世界線になってしまったとしたら、周りにエネルギーがたくさんあるのにエネルギー不足で死んでしまうという滑稽な状況になります。

冷たいものの世界線は比較的きれいです(それでもランダムな変化をしていることに変わりはありませんが)。冷たいものは分子がゆっくり動いているので、止まっている世界線に近いわけです。

熱いもののエネルギーは単独では利用できませんが、冷たいものと組み合わせるとエネルギーを取り出せます。熱いものは勢いがすごいので、冷たいものとの境界面では、熱い方から冷たい方に物質は移動します。つまりそこにピストンなりタービンなりを置けば、発電できるのです!単独では予測できないものも、別の予測できないものと一緒においてやれば予測可能な流れができることがあるのです(これは、「たくさんの粒子が同じ方向に動いている時」の状況を人為的に作り出すトリックです)。

まとめ

ある物体の世界線からエネルギーを見る時は、線の傾きを見ると良いでしょう。縦に真っ直ぐな線にエネルギーはありません。エネルギーがあるのは、斜めになっていてほとんど横棒な線です。ただし油断してはいけません。ポテンシャルエネルギーという例外があり、まっすぐな線も斜めの線に化ける可能性があります。

エネルギーがたくさんあるということは人類にとって役立つことを必ずしも意味しません。良いエネルギーは予測しやすいエネルギーだけです。メチャクチャな動きをする熱のランダムな運動は予測不能なためそれだけではダメで、冷たいものと組み合わせ温度差によるわかりやすい動きからエネルギーを取り出すのです。

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