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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

拡散の屈折

光が凸レンズで一点に集中するように、水の中を拡散する化学物質も屈折させて一点に集中できないものでしょうか?光が屈折するのはガラスの中での光の速度が落ちるからですが、それなら拡散する速度を調節してやれば化学物質も集中しておかしくありません。


光と拡散

光が集中する理由は、凸レンズの中で光が遅くなっているからです。凸レンズの中心をとおる光ほど遅くなるので、中心の光のノロさにイライラした(!)周りの光が内側に入り込んでいるのです。中心と周りの速度の差によって光は一点に集中します。

この理屈は、拡散する物質にも応用できそうです。もし拡散する速度が遅い領域があれば、周りから物質が入り込んできて結果としてそこに物質が集中するようにみえるかもしれません。

ではやってみましょう。

結果

上がふつうの拡散、下が中心の拡散速度を遅くした拡散です:

普通の拡散

屈折する拡散

この二つは化学物質の拡散を表す図です。たて軸が時間で、横軸は空間です。バーが長いほどそこにある化学物質の量は多いということを意味しています。

普通の拡散では中心にある物質はどんどん周りに散っていっています。しかし中心の化学物質ほど拡散スピードが遅くなるよう調節したバージョンでは、中心の量は減っていません。むしろ増えています。中心から周りに散っていく物質より周りから中心に入ってくる物質のほうが多いからです。

※まあたしかに、完璧に一点に集中するわけではなく、漏れが周りに少し生じています。それでも中心の量だけ見ると最初より増えていますから、集中しているともいえます。

これを実際にやるには

ところで、拡散速度が場所によって違うというのは現実にあり得るのでしょうか?1つの考え方としては、中心の温度が低いのかもしれません。分子速度が速いほど温度は高いので、きっと熱いところほど拡散速度は早くなるでしょう。温度差によってレンズのようなものを作れるわけです。

あるいは、これはマクスウェルの悪魔の変形版とも言えます。マクスウェルの悪魔は左右の部屋で拡散する速度が違います。左から右に行っても右から左へはいかないという拡散速度の違いによって時間を戻している(つまり、2つの部屋に拡散した物質を一つの部屋に集中させている)のです。マクスウェルの悪魔のようなナノマシンを用意して分子の動きを一つ一つ制御すれば、拡散を屈折させることができるでしょう!

時間解釈

この屈折には別の解釈も可能です。中心の拡散速度を遅くしたのではなく、中心の時間の流れを遅くしたと考えることもできます。中心の時間がゆっくりになった結果として、周りに拡散する物質が少なくなったのです(そして、周りから入り込む物質がそれを上回るようになったのです)。

ものは時間が経つと周りに散っていくので、時間の流れをゆっくりにすれば周りに散っていくのが遅くなるのは当たり前です。

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