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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

登山と下山によって状態を変える

私達が物体の状態を変えるとき、多くの場合ポテンシャルエネルギーの山を登ったり降りたりします。わたしたちの身の回りにある状態は、だいたいポテンシャルの谷底で安定しています。安定していないものは、とっくの昔に状態を変えて別物になっているだろうからです(そして安定したところを見つけたら、そこに居座るでしょう)。安定した状態を別の安定した状態変えるということは、山を一度乗り越えて、別の谷に落ち込むということです。


スイッチ

私たちは日常的に物体の状態を変えています。朝起きたときに顔を洗うために蛇口の状態を変え、朝食として卵を卵焼きに変え、食後は汚れた歯を綺麗な歯に変えます。しかしそれらの行動はあまりに複雑で考えにくいため、まずOnOffの2状態しかないスイッチについて考えましょう。

私達が電気のスイッチを切り替える時、スイッチ器具のOnとOffの状態は安定しています。つまり、スイッチがOnなのに、勝手にOffに切り替わったりはしません。状態が切り替わるのは、私達が指で力を加えるときのみです。ポテンシャルエネルギーの図を描くと、次のように2つの谷が描かれるでしょう。スイッチの切替えは、片方の谷からもう片方への移動です。指で力を加えるのは、谷と谷の間の山を乗り越えるのに力が必要だからです。

こう考えると、スイッチの切替えというのは奇妙な現象です。ボールがかってに山を乗り越えるなんてことは、時間が逆転していない限りありえません。スイッチの切替は、あたかも時間が逆転して、その後普通の時間の流れに戻っているかのようです。もちろん本当に時間が逆行しているわけではなく、指の力はATPのエネルギーを消費して生まれているので、何ら物理法則に反しているわけではありません。スイッチの切替えで未来を予言することも不可能です。

机とお皿

登山と下山で他の様々な状態の変化を説明することもができます。机の上にあるお皿を床に移動することを考えましょう。これも登山と下山で説明できます。次の図のように、机がギザギザした表面をしていると考えてみましょう(一見変ですが、原子レベルではこれは正しいです)。通常、お皿(水玉)は机の上から動きません。机のギザギザの谷底で安定しているからです。しかし人が指で摘んで山を乗り越えさせることはできます。そうすれば、床に移動できるでしょう。つまり、私達が朝食のためにお皿を移動する時、そこには必ず登山と下山が含まれているわけです。

食事

食事も登山と下山で考えることができます。卵焼きを食べるとはどういうことでしょう?それは、卵焼きをちぎって口の中に放り込むという作業です。ちぎる作業の中には登山が含まれます。卵焼きは安定しており、箸でちょっとつついた程度では変形しても形はもとに戻ってしまいますが、それはポテンシャルエネルギーの地形の谷底にあるからです。ちぎるためにはある程度力を加えて引き離さなければなりません――山を超える必要があるのです。

こう考えると、ライオンの牙が尖っている理由も理解できます。とがった物体を肉に押し当てると、力がとがった一点に集中します。つまり、その部分はより効率的に山を登るというわけです(かわりに他の部分ではちっとも山を登れなくなりますが、ちぎるためにはちぎれる部分一か所が山を登りきれば良いので問題ないのです)。生き物の肉には弾力性があり、ある程度伸ばしても離せば元の状態に戻るため、鋭い歯なしでは食いちぎりにくいでしょう。鋭い歯は登山する力(時間を逆転させるかのような力)を一点に集中できるのです。

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