忍者ブログ

Memeplexes

プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

2つのボールがポテンシャルエネルギーの開放で反対方向に飛ぶシミュレーション

ガソリンは燃やすともともと持っていたエネルギーが開放され、分子がばらばらになって吹っ飛びます。ここでは、それを2つのボールで単純化したシミュレーションを行います。


ポテンシャルエネルギーの解放

最初に持っているポテンシャルエネルギー:
物体の質量比:
最初の速度:

操作方法

最初に持っているポテンシャルエネルギー:2つのボールが最初に持っている潜在的なエネルギーです。これが大きければ大きいほど開放した時勢い良く吹っ飛びます。

物体の質量比:2つのボールの質量を調節します。左につまみを移動すると左のボールが軽く、右に移動すると右が軽くなります。

最初の速度:2つのボールの最初の速度を調節します。左につまみを移動すると左へ移動する動きになり、右につまみを移動すると右へ移動する動きになります。真ん中だと停止した状態です。

解説

物理学を習い始める時は2つのボールをぶつけるとどう反発するかというのを計算します。しかし現実世界では、2つの動いていないボールがいきなり吹っ飛ぶという現象がよくあります。つまり、適度な濃度の気化したガソリンに火をつけると、爆発するのです。ガソリンは最初動いているわけではないのに、何故かあなたの体を四方八方へ移動させる潜在的な力があり、マッチの火はそれを開放したのです。その潜在的な力のことをポテンシャルエネルギーと言います。動いていないので、猛スピードで突っ込んでくる大砲の弾と違って、一見エネルギーなどないようにみえるのですが、実は潜在的な(ポテンシャル)エネルギーを持っているのです。

このシミュレーションはそのガソリンの燃焼を単純化したものです。2つの繋がったボール(単純化したガソリンのつもりです)がいきなり爆発します。ボールは動いていないのでエネルギーを持っていないように見えますが、実はポテンシャルエネルギーをもっており、それが開放されたのです。爆発の時の勢いは、「最初に持っているポテンシャルエネルギー」で決まります。これが大きければ大きいほど、2つのボールは勢い良く吹き飛びます。

ポテンシャルエネルギーの解放の意味

私達の身近なポテンシャルエネルギーの解放は、たとえば物が燃えた時の熱です。熱は、ガスのポテンシャルエネルギーが開放され分子がバラバラに飛び散る運動です。ガスの分子ははじめ動いていないので冷たいのですが、吹き飛ぶことによって熱の分子運動となります。

これは時空図でいうと、世界線(ボールの経路を描いた線)がバラけることに対応しています。最初2つのボールの世界線は平行なのですが、ポテンシャルエネルギーを開放した瞬間、違う方向を向くのです(つまり、ポテンシャルエネルギーとは、解放されると世界線を傾けるものだと考えることもできます)。このシミュレーションでは2つのボールだけしかありませんが、現実世界のガスだと、もっとたくさん分子があります。燃える前のガスは、たくさんの分子がたいだい同じ方向の世界線を描いているのですが、燃やして熱くすると、それぞれの世界線がメチャクチャな方向になるわけです。

次の図は、時間の流れによって世界線がどれだけ乱れることになるかを大雑把に表した模式図です(現実にはもう少し世界線同士が衝突したきちっとした図になるでしょうが)。はじめ世界線はだいたい同じ方向を向いていますが、時間が経つとポテンシャルエネルギーが開放され、世界線が互いに違う方向を向くようになるわけです。

(SF作家の制作したページOrthogonal Geometry and Motionより)

エントロピー増大の法則(宇宙の乱雑さは大きくなる)というのがありますが、物を燃やし続けていたら宇宙の乱雑さは当然大きくなるでしょう。私達が生きるためには、料理するためにガスを燃やしたり、食べ物から取り入れた糖分を体内で燃やして運動のためのエネルギー源にするのは避けて通れませんが、それは宇宙をどんどん乱雑にしてしまう宿命なのです。

拍手[0回]

PR