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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

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遺伝子スイッチの速度グラフ

遺伝子スイッチのふるまいを(合成/分解)速度のグラフから理解するプログラムです。スイッチが安定するのは合成と分解の速度がちょうど同じ時なので、速度のグラフを描くと交点で安定するのです。


合成と分解のバランス

操作方法

[←]キー:物質を減らす。この操作ができない時は一度キャンバスをクリックして下さい。

[→]キー:物質を増やす。この操作ができない時は一度キャンバスをクリックして下さい。

解説

これは遺伝子スイッチのシミュレーションです。生成される物質の量は、まったくない(0)かある一定の量か(1)のどちらかです。デジタルであり、中間はありません。厳密に言えば、外部から物質をくわえたり減らしたりすれば一時的に中途半端な量になることもあります。しかし、すぐにどちらかに変わるのです。

遺伝子スイッチが物質の量を0か1かにしてしまうのは、その2つの状態では、合成と分解が釣り合っているからです。物質を合成するのと同じだけ物質を分解すれば、外から見れば量に変化がないように見えます(千人死んでも千人新たに生まれれば、人口は変わりません)。そして、物事のというのは変化のある状態よりも変化がない状態で安定しやすいのです。なにしろ、変化がある状態はすぐに別の状態に変わってしまうため、儚いものです。それにたいして変化がない状態は時間がたっても変わらないわけですからね。

このシミュレーションは、それを速度の視点から見ることができます。緑の線は分解速度、紫の線は合成速度です。2つの線は違う形をしており、いくつかの点で交わっています。そのうちの2点(◎が描かれた点)が安定した状態なのです(残りの点はどちらの◎に行こうか迷うコウモリのような点です)。というのも、安定した状態では分解と合成の量が同じだからです。[←]キーや[→]キーで現在の量を無理やり変えたとしても、すぐに安定した状態に復元します。「安定」とは、少し変化が起きても元に戻るという意味なのです(大きすぎる変化は戻せませんが)。

合成速度の形

ところで、合成速度はどうしてこんな変な形をしているのでしょう?紫の線は曲線と横棒が組み合わさった人工的な形をしています。現実にこんな反応をする現象なんてあるのでしょうか?まあ無いでしょう…厳密には。しかし、ほぼこれと同じような形になる現象はあります。このことを理解するために、まず合成速度の形が何を意味しているのか理解しましょう:それは「量が少ないと合成が極端に遅いが、量が増えるとどんどんスピードアップしていき…しかしある時点で頭打ちになる」です。(いっぽう、分解速度の方は「量が多ければ分解も多く、量が少なければ分解も少ない。頭打ちはない」です。)こんな現象は現実にどのようなものが考えられるでしょうか?

「頭打ちになる」というのは、スーパーのレジのようなものです。お客が増えればふえるほどレジで会計をしているお客の数は増えます…。しかし、レジの数を超えることはありません!お会計速度は、レジの数で頭打ちになるのです!生物で言うと、合成酵素の数は限られているので、いくら合成のための材料があっても作られる物質の量には限界があるわけです。

「量が少ないと合成が極端に遅いが、量が増えるとどんどんスピードアップ」というのは、合成に2つ以上の物質が必要だということを意味しています。これは、複雑な機械の作成に例えることができます。パソコンのように沢山の人が協力して作る機械は、原始時代の少人数の村では、たとえ作り方がわかったとしても作るのは不可能でしょう。複数の分野の熟練者が必要だからですが、それがすべて村の中で揃う可能性は低いのです。複雑な機械は、世界中から優秀な人材を集めて初めて可能になるのです。たぶん、これは作るのが可能になる最低限の人数というのがあり、それを下回ると作れる可能性は極端に低くなるでしょう。このシミュレーションの物質の合成もそれと同じです。2つ以上の物質が協力してあらたな物質を作り出すため、数が少ないとほとんど作れないのです。複数の物質がくっつかないと上手く動かない酵素というのは現実に存在しますから、これもやはり現実の現象で説明できるのです。

まとめ

まとめましょう。このシミュレーションの物質は、自分で自分を作り出します。しかし、複数が協力して作り出すので、自分の数が少ないときにはほとんど作ることができません。ある程度数が揃って初めてそれなりの速度を出すことが出来るのです。そして頭打ちもあります。合成は自分たちだけで作るのではなく、合成酵素が必要で、合成酵素が足りなくてもやはり速度は出ないのです。レジの数以上にお会計することができないのと同じように、合成酵素の数以上の速度は出せません。破壊する要素もあります。物質は自然に分解していきます。それは単なる確率の問題で、1枚の皿と100枚の皿を同じように扱ったら、100枚の皿のほうがだいたい100倍の枚数割れるのと同じく、物質の分解量はその量に比例します。物質は合成されながら、同時に分解もされるのです。そして、両者が釣り合った時安定します。遺伝子スイッチは、破壊と再生を同時に行い、両者のバランスにより安定した状態がもたらされるのです!つまり遺伝子スイッチはフォースにバランスをもたらす者ダースベイダーだったというわけです!

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