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Memeplexes

プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

DNAも神経も使わない適応

生物が環境に適応する方法といえばDNAの進化や脳を含めた神経による学習ですが、ここではDNAも神経も使わない適応のシミュレーションをします。単に自己複製しかできないプリオンのようなものでも適応するのです。


位置の淘汰

操作方法

マップをクリック:自己複製分子をクリックした場所に生成します。

[絶滅]ボタン:自己複製分子を全て破壊します。

[地図をランダムに初期化]ボタン:地図の確率をランダムに初期化します。

解説

プリオンは生物でしょうか?狂牛病の原因である異常プリオンは、正常なプリオンを自分と同じ異常プリオンに変えてしまいます。異常プリオンは自分の仲間を増やすという意味で生物と同じです。

ふつうは、異常プリオンを生物とはみなしません。というのも、これは単純な分子であり、DNAのように情報を蓄えることができないからです。異常プリオンはいつまでたっても異常プリオンのままです。異常プリオンが進化して知的生命体になる可能性は皆無というわけです。…本当にそうでしょうか?

このシミュレーションは、異常プリオンのような単純な物質でもある意味で自然淘汰が起きるということを示します。異常プリオンは情報を蓄えることができないと書きましたが、1つ明らかな例外があり、それは位置情報です。位置情報を一種の遺伝子と見なせば、自然淘汰による進化が可能となります。異常プリオンは、異常プリオンが破壊されにくい場所にたくさんあるのです。異常プリオンは、進化によって破壊されにくくなるのです。

もちろん、こうなるのは単に「破壊されやすい場所にある異常プリオンは既に破壊されているから必然的に安全な場所の異常プリオンが生き残る」からです。しかしこれは自然淘汰による「死にやすい遺伝子をもつ生物は既に死に絶えるので死ににくい遺伝子を持つ生物が生き残る」というのと同じです。異常プリオンにとっては位置情報こそが遺伝情報なのです。進化生物学者は遺伝子を位置にたとえた適応度地形で進化を考えることがありますが、ここでは文字通り遺伝子と位置が同じなのです。

このシミュレーションはこの「位置の自然淘汰」のデモンストレーションです。キャンバスをクリックすれば自己複製する分子(ランダムに動き回る黒い四角)が生まれ、地図の上で増えていきます。地図には1秒後に生き残る確率が書かれており、たとえば90%なら「1秒後に生きている確率は90%、死んでいる確率は10%」です。自己複製分子は生き残る確率の大きいところで数を増やしていきます。

この自己複製分子は意思を持っていないとうことに注意して下さい。プログラムされているのは純粋にランダムな動きです。生き残る確率の高いところに行こうとしているのではなく、生き残る確率の低いところに行ったやつが死んでいるだけです。

まあ、それは普通の自然淘汰も同じですし、私達の脳だって純粋にランダムな動きをする分子の集合体なのですから、考え方次第でこの黒い四角にも意思があると言えそうですが…。

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