ペガサス沼はUFOを呼び寄せるか？

前回述べたように、タイムトラベル可能な世界のシミュレーションにペガサスの写真を外部からセットすると、それが未来から来たと解釈され、沼の分子が組み合わさり生きたペガサスになる可能性があります。スワンプ・ペガサスです。このページではスワンプ・ペガサスを連続して作った場合、その世界は写真がなくても自発的にペガサスを作るようになることを示します。

ペガサス沼は生きている

タイムトラベル可能な世界のシミュレーションにペガサスの写真をセットすると、沼の分子からペガサスが生成されます。つまりその沼はペガサス製造機であり、ペガサスの写真は一種の製造命令だと言えます。

しかしペガサス沼は普通の機械とは違うところがあります。ペガサス沼は、何度も命令を受けると、その命令が「しみつき」、命令なしでも自発的にペガサスを作り始める可能性があります。

ペガサスを作る2つの方法

そのことを次のような単純なモデルで考えてみましょう。

ペガサスを作るのに2つの方法があるとします。一つは前回すでに述べたように、沼の分子を全くの偶然から組み立て、ペガサスにする方法です。もう一つは、異星人が乗っているUFOを沼に墜落させてその中にある生物合成装置を使う方法です。

後者の方法は生物合成装置のスイッチを（沼の泥が）押すだけでペガサスを作れるのですが、そもそも異星人の乗っているUFOが近くを通りかかる確率がとても小さいので、全体としては前者と確率はそう変わらないでしょう。

上の図のように確率を設定すると、UFOを使う方法も使わない方法も、ペガサスを偶然から作れる確率は0.0099です（*）。現実にペガサスが偶然誕生する方法はこれより遥かに小さいはずですが、思考実験なので良いのです。

（*）UFOが墜落する確率が0.01、UFOの合成装置を利用してペガサスを作れる確率が0.99、UFOが墜落しない確率が0.99、UFOに頼らずペガサスを作れる確率が0.01。0.0099という数字は、0.01と0.99をかけると得られます。

ペガサスの写真が未来からやってきた時の確率

ではこのモデルの確率を、タイムトラベルで歪めてみましょう。未来からペガサスの写真が来たなら、必ずペガサスを作らなければなりません（ペガサスができる確率=1）。そのため確率は次のように歪みます。

注意してほしいのは、UFOが墜落する確率が劇的に上昇している点です。つまり、未来からやってきたペガサスの写真は、不思議な力で哀れな異星人のUFOを故障させるのです。このUFOが無人機であることを願ってやみません。

最初の作るペガサスについて言うとUFOが落ちようと落ちまいと確率は同じですが、その次からは多大な影響があります。、一度でもUFOが墜落したら、次回からはペガサスを作るのが遥かに容易になるのです。最初の図では、UFOの生物合成装置があればペガサス合成に0.99の確率で成功することになっています。いまやその条件は満たされているので、未来からペガサスの写真がやってこなくても、0.99の確率でペガサスが誕生し続けるでしょう。つまりはじめに述べたように、命令なしで勝手にペガサスを作り続ける沼が誕生するのです。