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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

数字当てパーティー芸とタイムトラベル

相手が心のなかに思い浮かべている数字を当ててしまうというかんたんな手品があります。もちろんほんとうに心を読めるのではなく、こちらからすこし要求して、思い通りの数字に誘導するのです――「なんでも好きな数字を思い浮かべて下さい。その数字の各桁の数字を足してください。その各ケタの数字をさらに足して……」。この論理構造はタイムトラベルと同じです。あいてが最初にどんな数字を思い浮かべても、こちらの思い通りの数字が出る未来はすでに決定されているのです。


循環論法

選んだ数字:

操作方法

選んだ数字:最初に心のなかで選ぶ数字を設定します。

解説

これはグレッグ・イーガンさんのSF小説『万物理論』に登場する数字当てパーティー芸をプログラムにしたものです。『万物理論』は、最初にこの宇宙の万物を説明する理論を思いついた人がこの宇宙を創造する――ビッグバンまで時間を遡って――という愉快なSFです。この小説に、循環論法の身近な例としてこのパーティー芸が登場するのです。このパーティー芸は、タイムトラベルと論理的な構造が同じです(42という数字が未来からやってきたので、必ず42にならなければいけません)。

実のところ、これはさほど驚くべきことではありません。循環論法とは「Aである。なぜならAだからだ」であり、これはタイムトラベルによるループと同じだからです――「あなたはおじいさんを殺すことができない。なぜならおじいさんは死ななかったからだ(だからこそあなたは生まれ今おじいさんを殺そうとしているのだ)」。タイムトラベルによる始まりも終わりもないループは、パラドックスを起こさない限りどんなものでも生み出すことができます。同じように、循環論法は自己矛盾を含まない限りどんなものも正当化できてしまうのです。

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