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プログラミング、3DCGとその他いろいろについて

熱と体積からエントロピーの復習

ものは体積が大きくなるとエントロピーが大きくなり熱せられてもエントロピーが大きくなります。どういうことなのか復習します。


エントロピー

エントロピーとは観察者の見た世界からの、実際の世界の状態の予測しにくさを表しています。体積が大きくなるとエントロピーが大きくなるのは、粒子がどこにあるのかよくわからなくなるからです。この時、「観察者が見た世界」はガスの体積で、「実際の世界の状態」は個々の粒子の位置です。体積しか知らない人が個々の粒子の位置を正確に言い当てるのはほぼ不可能でしょう。ただし、体積がものすごく小さければ(分子数個分なら)、粒子がそこにあるのだろうなと言い当てやすくなり、エントロピーは下がるわけです。

というわけで、物のエントロピーは観察者によっても決まります。観察者がそれをきちんと見ていなかったら、単純なものでもエントロピーは大きくなり、きちんと見ていたら複雑なものでもエントロピーは小さくなります。今回はたまたま体積が「観察者の見た世界」ですが、電子顕微鏡があれば分子の位置も「観察者の見た世界」になるわけです。

熱せられると分子の速さはばらばらになる

熱せられたもののエントロピーが大きくなるのは何故でしょう?それは熱い物体にはいろんな速さの分子があるからです。

温度は分子の平均的な運動エネルギーによってきまるのですが、これは単純に熱い物体の分子がすべて速く動くという意味ではありません。熱い物体には速く動く分子もあれば、ゆっくり動く分子もあるのです。冷たい物体ではゆっくり分子がほとんどですが。つまり、熱すると分子の多様性が増すのです。

これが何を意味するかというと、温度計をにらんでいるだけでは、熱い物体の分子の速度を言い当てるのは難しいということです。冷たい物体ならゆっくり分子がほとんどなので、ゆっくりだと答えておけば正解する可能性は高いですが、熱い物体ならいろんな速度の分子があるので、正解する可能性は低くなります。だから熱い物体のエントロピーは高くなるわけです。

これはある意味で、体積の場合と似ています。体積の場合は位置がばらばらになるとエントロピーが高くなったわけですが、温度の場合は運動エネルギーがばらばらになるとエントロピーが高くなるわけです。

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